5月最終週の週刊コンテンツは保険・ヘルスケアをとりあげます。
1. 損保大手Travellers、BrokerTech Ventures初の保険会社パートナーに
自動車、住宅、ビジネス分野の損害保険サービスを提供するTravellersがBrokerTech Ventures(BTV)初めての保険会社パートナーになりました。2019年に設立されたBTVは、保険代理店やブローカー業界に革新をもたらすことに焦点をあてた、ブローカーのみで構成されたブローカー主導の初の投資家グループであり、インシュアテックスタートアップへのアクセラレータープログラムを提供しています。このパートナーシップによりTravellersは早期に最新技術にアクセスできることになり、一方のBTVブローカー、および同アクセラレータープログラムに参加するスタートアップもエンドユーザの声を速やかに技術開発に反映できることになり、より良いサイクルが動き出します。日本でも昨年末より金融庁の仲介業への取組が前向きに進みだしているので、TravellersやBTVの活動は要チェックです。
https://www.dig-in.com/news/travelers-signs-on-with-broker-insurtech-accelerator
2. 生保大手MassMutualがベンチャースタジオプログラムを外部起業家に開放
米保険大手のMassMutualが、金融、健康、福祉に焦点をあてたベンチャービジネス発掘やスタートアップ育成を目的とし、ベンチャースタジオプログラムを開始しています。ベンチャースタジオは組織内部から発案されたアイデアに基づき新たなスタートアップ起業や新規ビジネス創出につなげることを目的としていますが、外部に開放することで相互連携や相乗効果を狙います。現在「ProQuo」と呼ばれるレース主催者や耐久レース参加者が個人の目標に対する進捗状況を追跡できるデータプラットフォームを立ち上げるプロジェクトを進めています。同プラットフォームは、スポンサーやブランド連携によるインセンティブプログラム等、健康促進につながるアイデアを取り入れています。ユーザ組織内部のアイデアと社内外のコラボレーションでどのようなイノベーションがうまれるのか非常に楽しみです。
https://biztimes.com/northwestern-mutual-launches-venture-studio/
3. Root InsuranceがAgero (Powered by Swoop)と提携し、デジタルロードアシスタンスサービスを標準提供
米インシュアテックユニコーンRoot Insuranceは、UBI(Usage Based Insurance)自動車保険を提供します。UBIは運転手の運転特性や技術などのパフォーマンスに応じてパーソナライズされた保険料を算出する、昨今注目の保険モデルです。そのRoot Insuranceが標準で自社アプリとSwoopデジタルプラットフォームを活用したロードサービス(Agero)を連携させたサービスを開始します。これにより、ユーザはRootアプリから直接ロードサービスを依頼する機能、車両位置情報マッピング、ライブサービストラックの追跡(Uber車両が地図上で到着まであと何分と表示されるのと同様イメージ)などが可能となり、ロードサービスとあわせて保険のクレーム処理も可能になります。このようなデジタルの良さをいかしたサービス連携は、ますます増えていくでしょう。楽しみです。
https://finance.yahoo.com/news/root-insurance-extends-digital-business-233711639.html
4. CVS、自動運転車Nuroと提携し、処方薬の自動配達テストを6月より開始
米薬局大手チェーンのCVSファーマシーが、自動運転車スタートアップNuroと提携し、テキサス州ヒューストンで処方薬配達テストを開始します。Nuroはソフトバンクビジョンファンドから多額の出資を受けたことで有名です。COVID-19の影響をうけ、配送サービス需要がこれまで以上に高くなっていますが、食料品のみならず、近々処方薬もその対象になりそうです。CVS会員は、CVSウェブサイトやアプリから配送車両として自動運転車両を選択(無料)できるようになり、受取時は本人確認証によりロックを解除する仕組みになっています。利用車両は当初はトヨタプリウスを活用し、後に専用車両に切り替わっていくようです。現時点ではエリア限定ですが、自動運転普及、宅配品の多様化ともどのような世の中になるのか興味深いです。
https://www.theverge.com/2020/5/28/21272966/nuro-cvs-autonomous-medicine-delivery-robot-houston
まとめ
事業提携やハートナーシップは今のようなチャレンジングな状況下、これまで以上に大切だと実感しています。事業統合や買収含めて今後ますます増えていくような気がします。当社オフィスがある米カリフォルニア州サンタクララ郡では、引き続きStay Home環境が続きますが、今までの状態に100%戻るということは難しいと思いますので、今回のような多くのテクノロジーパートナーシップに触れながら、ニューノーマルをむかえる準備を進めていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。