Covid-19の影響により、多くの金融機関が顧客接点やサービスのデジタル化をはかっています。そのデジタル化を進めていくうえで金融機関自身が提供するサービスとして注目されているのがEレシートマネジメントです。
今回は、北米、英国で多くの採用実績を誇るEレシートマネジメントプラットフォームを提供するスタートアップSensibillをご紹介します。
中小企業や自営業などユーザーと銀行のWin-Winの関係をつくる
今回のパンデミックは、様々な業種のビジネスにマイナスの影響を与える一方で、企業がデジタル化を加速するきっかけとなり、また、デジタルサービスを提供する業界にとってはプラスの影響を与えていると言えるでしょう。リモートワークを中心とした働き方改革、ビジネスのデジタル化、非接触決済など、様々な分野でこれまでにないスピード感で技術的な進捗が見られます。
金融業界におけるデジタルバンキング化もその1つですが、そのサービスの1つとして注目したいのがEレシートマネジメントです。Eレシートと聞くと、さほど目新しいものでは無いように思いますが、銀行のモバイルアプリに組み込まれるというのがポイントです。
Sensibillのプラットフォームは、特に中小企業や自営業を対象とした金融サービスポートフォリオ(預金や融資など)をもつ銀行向けです。ユーザーは日々発生する領収書やレシートを自社が契約している銀行のアプリで写真をとって管理します。それだけで毎月の支出を把握できるほか、AIが購入品を自動で識別することで、私用と公用に分けて購入品を管理することも可能です。
また、銀行側のメリットは、Sensibillの活用による顧客エンゲージメントの向上です。顧客であるユーザーが銀行アプリで管理しているEレシートデータを分析することで、各社のビジネス状況を把握できるようになります。これによりそれぞれの顧客が今求める銀行サービスが何なのかを理解し、個社毎にパーソナライズされたサービス提案に繋げることができるわけです。
Nissho USA注目ポイント
既に北米と英国あわせて、約75もの金融機関がSensibillとパートナーシップを締結しています。カナダのトップ銀行であるRoyal Bank of Canadaとの共同試験、英国のScotia Bank、Royal Bank of Scot Landなど、北米やヨーロッパの大手銀行とも連携しています。
資金調達先としてカナダのトップ数社に入るCIBCやNational Bank of Canadaなど、大手銀行のCVCがエントリーしている点もおさえておきたいポイントです。何より先日、米大手のJP Morgan ChaseがSensibillを採用したことを発表し、さらに注目されました。金融機関のデジタル化には欠かせないパーツであることが良く分かります。
日本での応用可能性として、リモートワークでは、環境がオフィスとはがらりと異なりますので、細かな紙の領収書管理やそれらを活用した確定申告などの作業は益々大変になります。今注目される理由にも合点がいきます。
また、データをいかに活用するか、パーソナライズされた提案をどのように実施するかは、他社と差別化するうえで非常に重要です。顧客接点をデジタル化した後にはデータ分析、活用が欠かせません。銀行という顧客データの宝庫ともいえる場所において、これまで蓄積されていたデータと、Eレシートにより更に蓄積されるデータをいかに組み合わせて、どう顧客エンゲージメント向上につなげるのか、非常に興味があります。こちらも注目すべき点だと思っています。
会社概要
設立年 | 2013年 |
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所在地 | カナダトロント |
従業員 | 50‐100名程度 |
創設者 | Corey Gross(CEO) |
資金調達 | $55.4M(2020年6月現在) |
VC | CIBC Innovation Banking, National Bank of Canada… |
URL | https://getsensibill.com/ |
※crunchbaseデータベース参照
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