シリコンバレーテクノロジー 2021.05.09

GAFAの次に来るメガトレンド「MT SaaS」

先日、LinkedInやTwitchなどへの投資実績を持つ米国著名ベンチャーキャピタルBessemer Venture PartnersからFAANG(Facebook、Amazon、Apple、Netflix、Googleの頭文字を取った造語)の次に来るトレンド「MT SaaS」についての記事が発表されました。日本ではGAFA(FAANGからNetflixを抜いた造語)というキーワードが浸透しているかと思いますが、今回はその先に来るMT SaaSについてポイントを解説していきたいと思います。

新たなメガトレンドMTSaaSとは

MTSaaSとは(Microsoft、Twillio、Shopify、Amazon、Adobe、Salesforce)の頭文字を取った造語です。テクノロジー企業が世界のGDPを牽引していく中、ソフトウェアは最も成長している分野であり、その中でもクラウド分野は今後も成長を加速していくことが見込まれます。そのような中、Bessemer Ventureは現在のGAFAに含まれているAmazonに加えて、Microsoft、Twillio、Shopify、Adobe、Salesforceの5社が新たなリーダーとして市場を牽引していくと予想しています。

ここからはMTSaaSにピックアップされた6社のポイントをそれぞれ紹介していきたいと思います。

Microsoft

Microsoftはパソコン用OSのWindowsを開発し成長を遂げた後、現在はクラウドサービス「Azure」に注力しており、Amazonクラウドサービス「AWS」に次いで世界第二位のシェアを獲得しています。まだまだ多くのサービスがオンプレミス上で動いている中、それらのサービスが今後クラウドに移行するのに伴い、Azureは引き続き成長していくでしょう。

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Twillio

TwillioはWeb会議やチャットなどのさまざまなコミュニケーション機能をAPIで提供するAPIファースト企業です。例えば自社アプリにチャットなどの機能を実装したい場合、Twillioが提供するサービスとAPI接続するだけでチャット機能を実装できるようになります。コミュニケーション機能は多くのアプリに欠かせないため、その機能を簡単に実装できるTwillioのサービスは今後も需要が増えていきそうです。

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Shopify

Shopifyはオンラインビジネスに必要なサービスを揃えたプラットフォームで、ECサイト、決済機能、配送機能、マーケティング機能などをサブスクリプションで提供しています。コロナ禍で様々なビジネスがオンライン化していく中、Shopifyを活用してオンラインビジネスを立ち上げる企業は増加し一気に成長を加速させました。日本ではBaseがShopifyと類似したサービスを展開しています。

Amazon

AmazonはGAFAから唯一残った企業で、クラウドサービス分野で世界No1のシェアを獲得しているAWS(Amazon Web Service)を提供しています。AWS事業は前年比約30%の成長を記録しており、今後も様々なサービスがクラウドへ移行していくことからAzureと同様に成長し続けることが期待されます。直近ではAmazon創業者のJeff Bezos氏が2021年7月にCEOを退任することを発表して話題になりました。

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Adobe

AdobeはPDFを発明し紙からデジタルへ変革をもたらしました。元々はパッケージ製品を販売していましたが、その後時代に合わせて文章のスキャン、編集、共有などをクラウドサービスで提供するようになりました。そのほか2018年にマーケティングプラットフォームのMarketo、2020年にマーケティング担当者向けの作業管理プラットフォームのWorkfrontを買収するなど、クラウド化が進む中で事業の展開を図り成長を続けている企業です。

Salesforce

SalesforceはCRM(Customer Relationship Management)をクラウドで提供する企業です。日本でも既に多くの企業がSalesforceの顧客管理プラットフォームを活用し、ビジネスの管理・成長に繋げています。2019年にBIツールのTableauを買収、2020年にビジネスコラボレーションプラットフォームのSlackを買収するなどで注目を集めました。

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NisshoUSA注目ポイント

今回の記事を見て、今後GAFAの次に世界をリードする大きなトレンドとしてMTSaaSというキーワードは面白いなと感じた一方、Bessemer Ventureの投資先企業が優先的にピックアップされているようにも感じました。

MTSaaS以外に次の世界をリードする企業として私が予想するのは、決済機能をAPIで提供するStripです。Stripを選んだ理由は今後どのようなサービスでもAPIファースト企業のテクノロジーを有効活用することが大切になってくるからです。さまざまなAPIファースト企業がある中で、自社開発のハードルが高い決済領域のサービスを提供するStripは今後より注目されていくのではないかと考えています。今後、MTSaaS以外にもどんなトレンドキーワードが出てくるのか楽しみです。

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最後までお読みいただきありがとうございました。
Nissho USAは、シリコンバレーで35年以上にわたり活動し、米国での最新のDX事例の紹介や、斬新なスタートアップの発掘並びに日本企業とのマッチングサービスを提供しています。紹介した事例を詳しく知りたい方や、スタートアップ企業との協業をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

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Shuichi Noto

2008年にユニアデックス入社。5年間の大手通信キャリア向けの営業を経験した後、日商エレクトロニクスへ入社。大手OTTの情報システム部門向けにVDIやWeb会議などの働き方改革を促進するソリューションの販売に従事。2019年よりNissho USAに赴任。お客様のビジネスを共創&サポートできるようなソリューションの発掘を目指し日々活動中。担当領域はITインフラ全般、ヘルスケア業界、地域創生など。趣味はゴルフとサッカー。

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