2021年8~9月の間、Y Combinatorの「DEMO DAY 2021 Summer」や、TechCrunch主催の「Disrupt2021 バトルフィールド」など、注目のイベントが開催されました。新規事業開発やスタートアップ調査を担当されている方なら、こうしたイベントに出場したスタートアップを知っておきたいのではないでしょうか。本ウェビナーでは、米国駐在員である日商エレクトロニクスUSA・能任(のと)が、各種イベントで注目したスタートアップを19社ご紹介しました。
TOPIC1 Yコンビネーター デモ・デーS21 注目スタートアップ紹介
Y Combinator(以下、YC)は、世界で最も人気のある、スタートアップのアクセラレーター(育成所)です。APIで決済機能を提供する「Stripe」、民泊プラットフォームの「Airbnb」など、有名なスタートアップを数多く輩出しています。そんなYCが毎年夏と冬に開催している「DEMO DAY」は、スタートアップが投資家に向けて、自社サービスをピッチするイベントです。過去最多である377社の出場企業から、日本でも受け入れられそうな10社のスタートアップを、能任がピックアップしてご紹介しました。
1社目:Genei(ジェネイ)
文章を読み込ませると、自動で要約してくれる生産性向上ツール。長い文章の要点をさっと掴むことができる。仕事にもプライベートにも活用可能。
2社目:Hypercontext(ハイパーコンテキスト)
ミーティング用の効率化ツール。チームミーティングや1on1など、ミーティングの目的に合わせてテンプレートを選び活用することで、議事録の作成やネクストアクションの管理を一元化できる。
3社目:clouda nix(クラウドニックス)
マルチクラウド環境向けの一元管理ツール。複数のクラウド上にある情報を集めて、1つのダッシュボード上に表示するだけでなく、セキュリティの監視や、事故が発生した際に迅速に対応するための修正ワークフローの構築も可能。
4社目:Genuity(ジェネイティ)
IT資産管理のプラットフォーム。企業が導入しているPCやネットワーク機器などのIT資産、利用しているSaaSや契約などを一括管理できる。社員からの問い合わせにも対応できる、ヘルプデスク機能も搭載。
5社目:Apollo(アポロ)
リワードとして株式が取得できるデビットカード。カードを利用するたびに、リワードとしてTeslaやAppleなどの株を取得できる。利用金額の0.25%分の株を得られるほか、$3~$1000の株を獲得できるキャンペーンも。
6社目:Aqua(アクア)
個人が少額で投資を行えるプラットフォーム。個人が約110万円からPE(プライベート・エクイティ)ファンドに投資可能。2021年に米国ではクラウドファンディングで調達できる限度額の法改正が行われ、投資サービスにも追い風。
7社目:Inspector Cloud(インスペクタークラウド)
在庫管理を効率化するリテールテック。モバイルアプリを使って商品棚の写真を撮ると、その画像がクラウドに送信され、画像認識技術によって在庫状況を可視化できる。
8社目:Zensors(ゼンソース)
カメラに写っているデータを分析するツール。レストランに設置したカメラの場合、1日の累積客数、現在の客数、空席数などをデータ収集できる。ユーザー自身が質問をカスタマイズし、それに基づいたデータ取得も可能。
9社目:First Igngite(ファーストイグナイト)
サイエンス特化のマッチングプラットフォーム。企業が科学的な問題を解決したいとき、その問題を解決できそうな科学者や大学の研究者を見つけられる。企業・研究者のどちらにもメリットがある仕組み。
10社目:Slip(スリップ)
コーティング特化の教育プラットフォーム。Webデザインツールの「Figma」やショートビデオ作成ツールの「Loom」などと連携が可能。コンテンツ提供側の開発エンジニアが、充実したコンテンツを簡単に作成できるのが特徴。
TOPIC2 テッククランチ Disrupt2021バトルフィールドファイナリスト スタートアップ紹介
テッククランチ主催の「Disrupt2021 バトルフィールド」は、スタートアップの登竜門と言われています。決勝に進んだ5社から選ばれる「ウィナー」は、賞金$100,000(約1,100万円)を獲得でき知名度も上がるため、世界的にも注目されているイベントです。ここでは、そのファイナリスト5社をご紹介しました。
ウィナー:Cellino(セリーノ)
バイオテックのスタートアップ。再生医療の分野で、IPS細胞の生産を自動化するプラットフォームを開発。製造プロセスの手間・コスト・時間の削減を目指し、最先端のAI技術やレーザー技術等を組み合わせた装置を開発中。
準アワード:Nth Cycle(エヌス・サイクル)
効率的にレアメタルを回収する装置を開発するスタートアップ。リサイクル業者や採掘業社向けに開発しており、回収設備の小型化や効率化に力を入れている。
アワード外:Tatum(タトゥーム)
ブロックチェーンの民主化を目指すスタートアップ。ブロックチェーン開発を手助けするプラットフォームを、APIで提供。各ブロックチェーンの専門家でなくても、複数のブロックチェーンを使えるようにするプラットフォームを開発。
アワード外:Adventr(アドベンター)
スマートメディアのプラットフォームを提供するスタートアップ。ユーザーの回答に合わせ、動画のシナリオが変わるのが特徴。ストリーミングサービスだけでなく、販売動画にも活用可能。
アワード外:Koa(コア)
ケニアのデジタル銀行を提供するスタートアップ。金融機関の不便さから多くの人が銀行に預金しないケニアにおいて、消費者にとって使い勝手が良いデジタル銀行を提供。お金を預けることで利息が得られる仕組みも提供中。
TOPIC3 Enterprise Connect でアワードを受賞したスタートアップMio紹介
次世代コミュニケーションをテーマとしたカンファレンス「Enterprise Connect」では、スタートアップ「Mio」がアワードを獲得。ここでは、「Mio」についてご紹介しました。
- 「Mio」は、テキサス州のオースティンに本社を置くスタートアップで、2013年に創業。2016年には、YCを卒業している。
- 「Mio」の提供するツールは、「Slack」「Teams」「Zoom chat」「Webex」のチャット機能を統合するもの。
- 統合ツール上のUI上で操作するのではなく、ユーザーがメインで使っているチャットツール上で操作が完結するのが特徴。(例:送信側がSlack上で投稿したメッセージを、受信側はTeamsで確認可能。)
- 初期設定を行うだけで、相手が使うツールの種類を気にすることなく、普段使っているツールを利用できる。こうした点から、日本でも受け入れられそうなツールと言えそう。
TOPIC4 Nissho USA 注目テクノロジー「GPT3」
GPTは日本語で「文章生成言語モデル」といい、文章を自動で生成できるだけでなく、プログラムや記事の自動生成も可能です。「GPT3」の「3」は「第3世代」という意味で、インターネット上のテキストや何千もの書籍のテキストを学習。入力されたキーワードや文章に応じ、次に表示すべき適切な文章を予測・提示してくれるものです。ここでは、「GPT3」を活用したスタートアップを3社、ご紹介しました。
1社目:Compose.AI(コンポーズエーアイ)
2020年創業、YC出身のスタートアップで、メッセージ自動作成ツールを開発。過去のキーボード入力履歴を学習し、文字を入力すると入力候補の一覧を表示。メールや「Slack」「Asana」など様々なツールとも連携可能。
2社目:Copy.ai(コピーエーアイ)
2020年創業のスタートアップで、商品説明や文章を自動作成するツールを開発。短い説明を入力すると、それにあった文章を複数提案。Eコマース内の商品説明やデジタル広告コピー、ブログコンテンツなどの作成に便利。
3社目:SaplingAI(サプリングエーアイ)
2018年創業、YC出身のスタートアップで、顧客向けメッセージ自動生成ツールを開発。セールス、カスタマーサクセス、サポートの業務効率化をサポートするツール。顧客ごとにパーソナライズした返信内容を自動生成する。
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