シリコンバレーの企業ではマシーンラーニングやIoTなどを活用する総合的なフレームワークが既に出来上がってきており、まだまだ進化が止まることはなさそうです。エンタープライズ業界のトップを走る企業たちは、次のフェーズへと移行するための準備を着々と進めています。
「AWS Re:invent 2016」でAmazonが新サービスを多数発表したように、シリコンバレーのテック企業ではすでに未来が到来しています。
驚くべきAmazonの破壊力 – AWS Re:invent 2016 –
それでは2017年はどうなっていくのでしょうか?シリコンバレーのトレンドから、エンタープライズテクノロジーの新しいあり方を見ていきましょう。
1. コラボレーションの進化
シリコンバレーでは「成功する企業はコラボレーションが上手くいっている」と言われるほど、コラボレーションが重要になってきています。そのため、気軽にコミュニケーションをとることができるビジネス向けのチャットシステムを導入する企業が増加しています。
注目すべきサービスはSlack、Hipchat、Flockです。 また、Slackの対抗馬として、YammerやSkypeを持つマイクロソフトの動きも見逃せません。
さらに、機械学習によって、コラボレーションプラットフォームが組織内の人、リソース、情報などの様々なデータを収集、学習することでコラボレーションを促すようなワークグループを自動的に形成するソリューションも提案されています。
柔軟に動くことが難しい組織において、コラボレーションプラットフォームは、今後デジタルトランスフォーメーションを進めていく上で鍵となるのではないでしょうか?
2. ビジネスボットの成長
現在、ビジネスボットはビジネスのコミュニケーションを助けるツールとして使用されています。
例えば、チャットシステムを提供しているslackはシステム上でチャットを行うだけでなく、ビデオ会議やタスク管理アプリケーションと連携して使用することができます。また、slack内でボットを作成してプロジェクトの目標通知やメンバーへのタスクのリマインドなど、自動で行わせることが可能です。
2017年は単純なチャットアプリケーションという位置付けから、よりインテリジェントなエージェントとして、クリティカルなビジネスファンクションに採用されるようになっていくことが期待されています。
「R&Dボットが、フリーランスデザイナーからのデザイン提案の選択をする」、「オペレーションボットが、契約メーカーとスケジュール管理をする」、「マーケティングボットがEコマースチャネルの最適化や製品プロモーションを実施する」といったことが近い将来、現実となる日がくるのではないでしょうか。
3. ディープラーニング(深層学習)の利用
機械学習とは
機械学習は、コンピュータを明示的にプログラミングすることなく学習することを可能にするコンピュータサイエンスの分野です。これは、データから学び、データの予測を行うことができるアルゴリズムに焦点を当てています。
ディープラーニングとは
脳神経回路を参考にしてデーターを分類するアイディアに基づくアルゴリズムであるニューラルネットワークがディープラーニングの考えのもとになっています。
ディープラーニングと呼ばれる分野の領域では音声認識、画像認識、ビデオ解析などの機能を実現しています。しかし、この高い精度は、計算要件が大幅に高くなるという代償を払っています。
ニューラルネットワークのような大規模なネットワークにはパターンを学習させるための大量のデータ、そしてアルゴリズムがそれを処理するための膨大なコンピューティングリソースが必要なのです。
ではなぜこれらの分野が急速な進歩を遂げているのでしょうか?理由のひとつとして、クラウド規模のコンピューティングの可能性と民主化があげられます。
GoogleのTensorFlow、IBMのWatson、MicrosoftのCognizant Toolkit、そしてAmazonも大手クラウドベンダーが次々とディープラーニングのサービス提供を開始しました。
ディープラーニングを使用した分析では、複数のレイヤーのニューラルネットワークを同時に処理するため、機械学習よりもさらに多くのコンピューティングリソースを必要とします。企業単体のオンプレミス環境で準備するとなると膨大なコストがかかるため、ディープラーニングは、現実的にクラウドサービスの利用がほとんどとなるのではないでしょうか。
4. NoSQLかSQLか
情報大爆発時代といわれる現在、膨大な情報をどのように管理するが企業の課題となってきます。膨大なデータの格納先として、ここ数年、これまでのSQLデータベースに代わるソリューションとして、MongoDBやCassandraといったより柔軟なデータモデリング、スケールアウトが可能なNoSQLデータベースが注目され、多くのスタートアップが参加しました。
最近の新しい兆候は、既存のデータベースベンダーからではなく、元Facebookの技術者が作ったMemSQL、Amazonが開発したデータベースサービスAurora、Googleが開発したCloud SQLなど、Google、Amazon、Facebookといったテクノロジー企業からもたらされており、それらはすべて、スケールアウト可能なSQLデータベースです。そして、多くのNoSQLデータベースはSQLが利用できるように改善されています。
5. Dockerコンテナ群の管理
未来のアプリケーションは、マイクロサービスとして、スケーラブルなクラウド基盤上のDockerコンテナで動作すると言われています。ただし、現状のモノリシックなアプリケーションをマイクロサービスに細分化しようとすると、その管理、調整といった問題が起こります。そのために、Apach Mesos、Docker Swarm、Google Kubernetesといったソリューションが登場しました。
例えば、Kubernetesは、ギリシャ語で”船の操縦手”という意味で、Googleを中心に開発されたDockerコンテナ群のデプロイ、オーケストレーション、クラスタリング管理、運用管理などの機能を提供する管理フレームワークです。
主要なクラウドはすべて、Kubernetesをサポートしており、CoreOSとRed Hatは、オンプレミスとクラウドの両方の実装にKubernetesのプロバイダをリードしています。
しかし、コンテナ管理ツールについてはAmazonも参戦するなど、今後もさらに競争が激しくなりそうです。
参考ブログ:熾烈なDockerコンテナ・オーケストレーターの覇権争い
6. サーバーレスコンピューティング
開発者はアプリケーション開発の際に、インフラストラクチャやサーバーについても考慮する必要があります。サーバーレスコンピューティングは、実際にサーバーが存在しないという意味ではなく、開発者がサーバーを意識せずに、アプリケーション開発に集中できるコンピューティング環境です。
Amazonが提供するAWS Lambdaが最もよく知られたサービスですが、Micorosoft、Google、IBMも同様のサービスを提供しており、今後利用が増加していくのではないでしょうか?
日本国内では、サーバーレスの技術カンファレンスである、Serverless Confが、2016年9月30日、10月1日にニューヨーク、ロンドンに次ぐ第3回目として開催されました。
7. クラウド専用のプロセッサー開発
クラウドベンダーは、AI時代、機械学習、ディープラーニングの最適化に向けて、独自のプロセッサーを開発しています。
Amazonは、自社のサーバー用に独自のARMプロセッサーを設計する子会社を持っており、Googleは、機械学習を処理するために独自のGPUを開発しました。Microsoftは、機械学習などの特定のアプリケーションを最適化するためにFPGAをデータセンターに導入しています。
8. IoT接続ソリューションの標準化
IoT接続のために確立されたメッセージングプロトコルは、長い間、コンパクトで効率的、かつ低電力を実現できるMQTTでしたが、2016年、この領域にGoogleが参戦しました。
Googleは、ハブに頼ることなく、ピアツーピア接続を維持できるメッシュネットワークプロトコルをオープンソース化して、標準化を狙っているようです。
また、興味深い変化は、アプリケーション層でも起こっています。10月にAllSeen AllianceとOpen Connectivity Foundation(以下、OCF)が合併したことにより、AllSeenが提供していたIoTのソフトウェアフレームワークであるAllJoynとOCFが開発していた、IoTのための機器、製品、およびサービスのためのコネクティビティを提供するオープンソースソフトウェアフレームワークである、IoTivityが統合されました。
さらに今後、Amazon、Goolge、Microsoft、IBMといった大手クラウドベンダーからもIoTデバイス上で動作し、クラウドに安全に接続できるサービスが提供されることが期待できます。
9. Hardware as a Serviceの時代に
HPとLenovoは、すでにPCのレンタルサービスを提供しており、顧客は、ハードウェアを購入せず、PCをサービスとして利用しています。サーバーサイドでも同様のことが起き始めています。
HP、Lenovoは、Microsoft Azure Stackが実装されたサーバーをサブスクリプションベースで販売しています。また、Oracleは、同社のクラウドサービス向けのマシンをオンプレミス向けにもサブスクリプションモデルで販売することを開始しました。
参照URL : 9 enterprise tech trends for 2017 and beyond, Amazon open-sources its own deep learning software, DSSTNE
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