米国時間10月18日から20日にかけて、TechCrunch主催の年次カンファレンス「TechCrunch Disrupt 2022」が3年振りにリアルで開催されました。各企業のトップや著名なベンチャーキャピタルによる数多くのセッションが用意された中で、最も注目を集めていたのがスタートアップバトルフィールドです。
今年も例年同様に、予選を勝ち抜いた20社が10月18日と19日に6分間のピッチと6分間のQAを行った後、ファイナルに残ったスタートアップが最終日の20日に再度ピッチを行い優勝者が選ばれました。そのなかから、今回は1日目のピッチに登場したGPT-3を活用した注目のスタートアップOmnekyを紹介します。
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Omnekyとは?
Omnekyは2018年に千住光氏がサンフランシスコで設立したスタートアップで、文章生成言語モデルのGPT-3を活用した広告を展開しています(GPT-3について詳しくはこちらの記事で解説しています)。
この数年でGPT-3を活用したスタートアップは数多く誕生したものの、まだPMF(プロダクトマーケットフィット)前のものが多いように見受けられるなか、Omnekyは既に多くのユーザーを獲得し、年間売上も約$2M(約3億円)を達成するなど急成長しています。さらに注目すべきはアーリーステージに特化したベンチャーキャピタルファンドのVillage Globalから投資を受けている点です。このファンドにはJeff BezosやMark Zuckerbergなどが個人で出資しています。
ここからはOmnekyが提供するサービスについて詳しく見ていきましょう。
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分析機能
Omnekyは世界中のウェブサイト、ソーシャルメディアなどから広告データを収集し、広告のターゲットユーザーに対して最適な内容や文章の長さ、効果的な色などを学習します。
クリエイティブな広告を自動生成
Omneky上で作りたい広告のサービスやプロダクトのデータを読み込ませるだけで、複数のクリエイティブな広告が自動生成されます。この広告にはOmnekyの分析機能が学習し続けているデータが反映されています。
作成されたアイデアの中から気に入ったものがあればそのまま利用できるほか、手を加えたい場合は箇所を指定すればその部分を修正した別のアイデアが提案されます。納得がいく広告が出来上がったら承認ボタンを押して完成です。出来上がった広告はGoogleやFacebookなど複数のプラットフォームに発信することができます。
広告を分析して動的に変更
発信した広告はリアルタイムで分析することが可能です。またより高いパフォーマンスを出せるよう、その分析結果に沿って広告内容を修正できる機能も備えています。
GPT-3を利用した他スタートアップとの比較
ピッチの最後には、GPT-3を活用した他スタートアップとの比較が説明されました。以前の記事で紹介したCopy.AIやJasperは、GPT-3が得意とする文章自動生成に特化しているため、商品のキャッチコピーや記の生成以外のことができません。その一方で、OmnekyはGPT-3の特性を活かしつつ、配信から分析まで行える広告のプラットフォームとして提供しています。
NisshoUSA注目ポイント
私がOmnekyを面白いと感じたのはGPT-3というテクノロジーを最大限使いこなしている点です。GPT-3自体は以前から注目していたテクノロジーであり、それらを活用したスタートアップも多数存在しているものの、ビジネスとして成功しそうなモデルがなかなか見つからないなというのがこの1〜2年でした。そんな中で、OmnekyはGPT-3の特性を活かしつつ、プラットフォーム化して提供している点がビジネスモデルとして有望だと感じました。
またピッチを聞いた時は意識していなかったのですが、詳しく調べていく中で創業者が日本人だと知りました。アメリカで起業し、Disruptの場で堂々とピッチしている姿に胸が熱くなり、自分もより大きなチャレンジをしなければという前向きな気持ちにさせられました。
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