こんにちは。Nissho Electronics USA細井です。2017年10月の終わりにシリコンバレーのPalo Altoにて二日間に亘りUX Nextというイベントが開催されました。今回はUXの基本に触れながらイベントで取り上げられた最新情報をお伝えします。
UXはこれまで本ブログではあまり取り上げてこなかったテーマですので、ここでUXデザインの意味を確認したいと思います。
UXとは
UXは ユーザーエクスペリエンス(User Experience)の略です。Experienceとは「体験、経験」、 従いUXとは「 ユーザーが製品・サービスを通じて得られる体験、経験」を意味します。UI(User Interface)が機器の形状やボタンの配置、Webなどでは表示される画面構成やフォントなどユーザーが直接目に触れる部分を指すのに対し、UXは使用することで得られた体験や経験まで含みます。言葉の定義がカバーする範囲としてUX>UIと言えるでしょう。情報が多く提供され、ユーザーの取捨選択の幅が広がってきた現在において、彼らの本質的な満足度を高められる事が重要視されていることからUXデザインへの注目度が高まってきています。
これを踏まえてイベントの内容を見ていきましょう。
会場全体は落ち着いた雰囲気
用意された会場は300名程度入るカンファレンスルームと、ブースエリア兼ランチ&ネットワーキング用の部屋という構成で中規模なイベント。参加者数は目算で200名程度と落ち着いた雰囲気で運営されていました。事前に“デザイン“と聞き、派手なサインや演出、個性豊かなファッションで着飾った多くの参加者を勝手に想像していましたが、実際は至極普段着であり落ち着いた雰囲気。裏方は常に冷静なのか?と逆に納得させられます。
スピーカーも多様
スピーカーはGoogle、Facebook、Amazon、NetflixといったIT系の会社から、Coca-Cola、Citi、MasterCardといったB2C企業も参加。これからのサービスにおいて機器やWebデザインなどユーザーのタッチポイントになるあらゆるものにUser Interface (UI)が重要である事、さらに現状と今後のトレンドなどを発表していました。
UIに見る5つのトレンド
- ユーザーインタフェースは対話的になる
- ユーザーインタフェースは直観的になる
- ユーザーインタフェースはユーザーをコントロールする
- ユーザーインタフェースがよりインテリジェントになる
- 会話型のユーザーインタフェースは、以下3つのNLP(Natural Language processing)使用事例で広まるようになる
a. カスタマーサービスの自動応答
b. 患者に対する仮想アシスタント
c. e-コマース向けのチャットボット
またGoogleのAR/VR関連のスピーカーの発表では、色彩の濃淡、画面一部の隠し方次第で強調される部分が異なることや、見ている側に与える直観的な印象や映像の残り方の違いなどが簡単な例と共に紹介されていてデザインの重要性を改めて知れる興味深いものでした。
音声認識を利用した対話型エクスペリエンスはこれからの主流に
上に挙げたUIトレンドの1つ、「対話的なUI」はこれから益々注目されていきます。日本でもこの秋から販売開始になったアマゾン社の(echo)やGoogle(Home)、そして以前からApple (Siri)がユーザーの声で買い物や音楽再生、運転中の行き先指定を可能にしているように、自動運転カーなどでも操作は益々対話型になってきています。
人と人のコミュニケーションで考えてみるとわかりやすいのですが、、対話する相手の物分かりが良かったり、察しが良かったりするとコミュニケーションが円滑に進みます。ストレスなくコミュニケーションが進むと、相手から何か提案された場合にその中から選択したくなります。ある部分では思考の誘導がされていると言えるでしょう。対話的なUIというのも同じことです。しかしユーザーがそれに満足し、最終的にはUXを高める事ができるのであれば、ユーザーがリピーターになる可能性が高まります。UXデザインがユーザーの行動をコントロールするようになり始めているのです。
スタートアップもUX重視
最近のトレンドとして、スタートアップは以前にも増してUXデザインに敏感になり、開発優先順位としても高く設定する傾向にあります。昨今オープンイノベーションがキーワードになっているように、一社のサービスで全ての機能が提供される事が難しいことから、他製品との連携のしやすさが彼らの成長に必須だと言われています。それに伴い、連携においてはAPI連携、操作性においては専門知識が不要な直観的なUXを提供するものが増えています。コンシューマー向けのタブレットや携帯端末等ではAR/VRも駆使した、直観的でインタラクティブな操作が流行ることが予想され、またコンシューマー向け製品のみならず専門職性の高いITインフラの製品に操作画面においても同様の傾向が見られます。AIなど頭脳の部分が複雑性を増す事に反し、操作面ではシンプルで直観的なものに変化しているのです。
UXは今後も注目
一般的に日本では製品開発においてデザイン性よりも機能性が重要視され、好まれるとも言われていますが、世界の潮流としてはデザイン重視になりつつあるのを強く感じます。また、上記にもあるように今後10年のAIの躍進をサポートするようにシンプル且つ分かりやすいデザインが望まれそうです。
現在少しづつ認知され、その重要性が高まっているUXデザイン。Palo Altoは古くからデザインの中心地でもあり、今後もこのようなイベントが多く開催されてくると思われることから、今後注目度はますます高くなるでしょう。何がUXとして良いデザインか?これは一概には言えませんが、多くの良いUXデザイン、本物のデザインを見て、デザイナーの息づかいの部分を感じて、少しずつ理解できていくものだと思います。我々としては、新しいUXのトレンドをいち早く捉えて、皆さんにお届けすることで少しでも皆様のお役にたてるのではないか?と考えています。
Nissho Electronics USAは上記のようなトレンドを把握の上、来るべきデジタルビジネス時代に備え、様々な観点からシリコンバレーで調査を行い、日商エレクトロニクスと連携し、お客様に対し最適な提案をしてまいります。
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