こんにちは、Nissho Electronics USA の門馬です。
ThoughtSpot社が提供するイベント「Beyond 23」が2023年5月にバーチャルで開催されました。今回はそのなかから、SXSW2023 フィードバックでも紹介した未来学者Amy Webb氏の講演のほか、注目セッションの内容を要約して紹介します。
ThoughtSpotとは?
AIを活用したアナリティクス企業です。同社が提供するデータ主導の意思決定を行うためのデータ分析プラットフォームでは、予測分析や機械学習などを活用した高度な分析機能によってトレンドやパターンを明らかにできるほか、自然言語処理機能により複雑なSQLクエリや定義済みのレポートが不要になるため、データの専門家でなくてもローコード、ノーコードでデータの探索と分析を効率的に行うことができます。
GPT のような LLM の世界における AI、データ、分析の未来
Amy Webb氏(未来学者/Future Today Institute創設者)
昨今、AIアクセラレーターと呼ばれる特別なハードウェアの開発が進んでいます。2030年には今より1,000倍パワフルなAIができるかもしれません。
その一方で、AIの成長を妨げているのが「データの不足」です。多くの企業がAIを適用しづらいデータを集めていたり、自分たちが何を持っているかさえ把握していなかったりします。組織内のデータが部署ごとにサイロ化し、ナレッジの共有が進んでいないからです。
データ戦略がないことも問題です。データを蓄積し、優れた解析ツールを導入したところで、適切な戦略がなければそれを活用することはできません。
データ戦略を立てる時に問題になるのは「不確実性」です。下の図はタイムコーンと呼ばれるフレームワークです。これが表すのは、「直近の戦術」に対する意思決定では今あるデータを活用して確実性の高いアクションに繋げられるということ。一方、「戦略」「ビジョン」「トランスフォーメーション」の領域では、データや証拠が少ない中で意思決定をしなければなりません。つまり、時間が経てば経つほど不確実性を考慮する必要があるのです。
そこで重要になるのが「シナリオ作り」です。実際に未来が訪れる前に複数の未来を考えてみましょう。「もしもこうなったら~」を突き詰めることは、成功しているリーダーは誰でもやっていることです。
Matillion、Databricks、ThoughtSpot によるセルフサービス分析
Shawn Johnson氏(Matillion、Principal Sales Architect)
Thor List氏(Databricks、Senior Field Engineering Manager)
Sachin Patil氏(Databricks、Solution Architect)
データを効率的に扱うために最近よく利用されるのが「モダン データ スタック」です。これは、データウェアハウスやデータレイクといったデータを格納する仕組みと、そこから効率的にデータを抽出・加工する仕組み、さらに抽出されたデータを分析する仕組みを連動させて自動化するエコシステムを指します。
このセッションでは、各種ソースからのデータ抽出・加工をMatillionが行い、データウェアハウスとしてdatabricksがあり、ThoughtSpotが分析、レポーティングを行う構図で、連携のデモが行われました。
「データ」については、活用について高い注目が集まる一方で、データ量の増加、数多あるデータソースから材料を抽出するプロセスを構築する難しさ、データ専門家の人材不足などさまざまな問題があります。しかしこの3社のエコシステムを利用すれば、バラバラにあるデータを効率的にかき集め、利用可能な構造に作り変え、ユーザーの知りたいことに対してリアルタイムに分析を提供できるようになります。そして、最大のポイントは、この一連のプロセスに対してデータ専門家のリソースが不要だという点です。
NisshoUSA注目ポイント
モダンデータスタックは、Nissho USAとして注目している分野の1つです。特にdatabricksは画像のような非構造化データの取り扱いに優位性があります。とはいえデータをためるだけではあまり意味をなしません。それをどう活用するかが非常に重要であることは言うまでもないものの、多くの企業では、「言うは易し、行うは難し」な状態が続いているのが現状だと思います。
今回のイベントでは、まず、こうしたツールがあり、データの効率的な有効活用に役立つと知っておくことが1つ目の重要なポイントだと感じました。将来の運用を見据えて、ツールの利用を前提としたデータの活用計画を考えていくことも必要かもしれません。
また、AIは直近の予測分析への活用はできるものの、中長期目線の不確実な要素までは予測ができません。言われてみれば当たり前ですが、AIがあまりにも優れているので、そう錯覚してしまうのも無理はないでしょう。やはりそこは、直感や業界の常識に依存する要素が多いので、人間の知恵を絞るエリアであることは間違いないと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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