こんにちは。Nissho Electronics USAの真次です。
ウェブ会議システムで注目を浴びているスタートアップ企業であるZoom Video Communications(以下Zoom)の年次カンファレンスが2018年10月10日~11日、San Jose Convention Centerにて開催されました。
昨年のイベントでは最新機能が多数発表され、注目が集まりました。そして今年で2回目となる本イベントは昨年よりも3倍多い1500名の参加者が集まり、大盛況のうちに終えたのです。そこで今回は発表されたばかりのZoom製品最新機能を2回にわたってご紹介します。
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Zoomおさらいとその急成長
Zoomは2011年に創業したウェブ会議システムのスタートアップです。
シスコシステムズに買収され、今では彼らの中核ソリューションにもなっているWebexのエンジニアによって創業されました。2017年にはSequoia Capitalから1億ドルを調達し、ユニコーン企業の仲間入りを果たした注目企業です。
そのユーザー数は2017年の間に2倍以上増え、利用されたミーティングの数は年間450億回となり、高成長をしてきました。
最新の導入事例として、Walmartが23カ国、230万人向けの社内システムとして採用したことが発表されました。さらに大学での利用も広がり、アメリカの有名大学内でのシェアは96%にまでなっています。
また、Zoom製品の評価は業界内でもますます向上しつつあります。ガートナーが毎年製品、サービスの価値を見極めて分野ごとに各企業を評価しているGartner Magiq Quadrantの発表でも取り上げられました。Zoomはミーティングソリューション分野で3年連続リーダーポジションの企業としてとして評価されているのです。
(出展:2018 Gartner Magic Quadrant for Meeting Solutions)
Zoomがこれだけの利用数、シェア、評価を誇る理由として、「当たり前のように動くシステム」(”It Just Works”)としてサービスを提供してきたことが挙げられるとCEOのEric S. Yuanは今回のイベントで強調していました。
(ビジネスソフトウェア専用口コミサイトのG2 CrowdでもZoomは満足度、マーケットプレゼンスにおいて1位に選ばれました。出展:G2 Crowd Momentum Grid for Video Conferencing)
自動化、データ利用、キャパシティーの拡張でさらに便利になるZoomの最新機能
Zoom製品の新機能発表は以下の4つの分野に分かれています。今回はZoom Roomsの新機能をご紹介します。
- Zoom Rooms
- Usability Enhancements (使い勝手の改善)
- Zoom Voice
- Zoom App Marketplace
Zoom Roomsとは会議室でのミーティングにまつわるシステムを一括してよりシームレスに行うためのソフトウェア製品です。個人がPC、モバイルからZoom会議に参加するための製品であるZoom Meetingと並んでZoomの中核製品です。
Polycom、Cisco telepresenceといった従来のウェブ会議室の代わりとなるソリューションであり、Zoomが今年一番押したい商品の一つと言えるでしょう。それでは発表された新しい機能を順に説明します。
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1, 会議室の人を認識して、オートフレーミングを行う
Zoom Roomsのカメラは会議室にいる人を認識することができます。会議室にいる人全員がテレビ画面に映るようにカメラフレームが自動的に調整されるのです。
相手の顔がウェブ会議でしっかりと見えることが満足度の高いウェブ会議システムに求められると言われており、実際のデモでも注目が集まりました。
以下は会場で行われたデモの様子です。最初は男性1名がウェブ会議に参加している状態です。
そのあと同じウェブ会議が行われている会議室に女性が入ると、カメラが女性を検出して自動でフレームを最適化します。
現時点でLogitech、Panacast、Huddly、Crestronの4社と共同開発しており、今後も注目の集まっているオートフレーミング技術です。
2, 実際の会議参加人数のデータに基づいた会議室の選択が可能に
会議室にいる人物を自動で検出できることで、何人参加しているかわかるようになりました。これにより会議室の利用率だけではなく、実際に何人がそれぞれの会議に参加したのかがわかるようになります。
このデータから、Zoom Roomsをどの部屋に設置するのかの選択やオフィスレイアウト時の適切な許容人数の設定、必要な会議室数の設定を決定することが可能になります。
3, システム障害の事前自動通知
Zoomが提供する管理画面は、デバイスからネットワーク状況まで可視化されているためトラブル解析にとても役立ちます。
さらに最新機能として、システムが障害を検知すると、そのアラートをメールなどで通知するようになりました。例えば、Zoom Roomsのシステムが入っているパソコンの電源が落ちていたり、会議用iPadの充電がされていなかったりと、会議に支障をきたす不備があったとします。
このような問題が認識されると管理者に通知が行きます。これにより未然にトラブルを解決できるようになったのです。
以下がZoom Roomsの管理画面です。問題が発生している会議室の状況(特定のシステムがオフラインになってしまっている)が管理者に通知されます。
4, Zoom Roomsを使ったデジタルサイネージ機能がさらに便利に
Zoom Roomsをミーティングに利用していない時間帯に、社内・社外掲示板として使える機能が増えました。
モニターをデジタルサイネージとして使うことで画面に画像やウェブサイトを表示することができました。今回の機能拡張ではこれに加えて、動画(.mp4、.wmv、 .avi、 . mov)が使えるようになりました。
一般のデジタルサイネージ専用システムは高額で汎用性も低いと言われています。Zoom Roomsであればウェブ会議用に導入したシステムからデジタルサイネージ機能を簡易的に使うことができるのです。
5, 会議に参加する場所、端末が変わってもシームレスな参加が可能に
Zoom Meetingは個人がそれぞれの端末からZoom上の会議に参加するためのウェブ会議システムで、Zoom Roomsは会議室向けのウェブ会議システムです。しかしながらこれまでZoom MeetingとZoom Rooms間の会議は連携が追いついていませんでした。参加機能が別々に存在しており、ミーティングIDの再入力など手間がかかっていたのです。
今回の新機能では、Zoom MeetingユーザーがZoom Roomsの設置された会議の近くにいる場合、モバイルからワンクリックでZoom Roomsを起動し、会議に参加できるようになりました。
6, カメラ・スピーカー・マイク一体型タッチディスプレイにより周辺機器が不要に
Zoom Roomsで使えるPC、カメラ、スピーカー、マイク機能を全て揃えた一体型のタッチディスプレイが発表されました。これにより、Zoom Rooms周辺機器の設置が不要になり、これらのハードウェアトラブルも削減することができるのです。
現時点では、DTENが先行してリリースしましたが、今後もDellやAver、HPなどがリリースを予定しており、広がりを見せています。
(DTENの一体型ディスプレイ。このディスプレイだけでミーティングへの参加ができる。ホワイトボード機能もついている)
7, 2つの画面を同時に共有することができるように
2つ以上のディスプレイを利用してミーティングをしている際に、2つのコンテンツを同時に画面共有できるようになりました。大人数での会議の際に、活躍が期待されます。
(デモでは2画面を同時に会議で共有されました。どちらもケーブルレスで実現しています。)
8, 機械学習に基づいた会議室の音声機能の最適化
Zoomの最新機能には自動で会議室の大きさ、マイクの場所を検知して会議中の音声を最適化してくれる機能があります。機械学習に基づいた最適化で、エコーキャンセレーション、ノイズリダクション機能も活用することで、より快適な音声機能をユーザーに提供することが可能になりました。
(左の図マイクの位置が青い丸のエリアにあることを示している。右の円グラブはその会議室の音声ボリュームを表している)
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Zoomの最新機能を是非お試しください。
Zoom Roomsの新機能8点を紹介しました。リモートワークや働き方が多様になってくる中、最新技術を駆使したZoom Roomsのスマートなミーティング体験はより需要を増していくのではないでしょうか。
この他にもイベントで発表された最新機能(Usabliity Enhancements、 Zoom Voice、 App Marketplace分野)は第二回でご紹介します。
また、Zoomの1ヵ月無料トライアルを行っていますのでご興味がある方はこちらからぜひお問合せください。Zoomの日本語ホームページもできましたのでこちらから問い合わせも可能です。
最後までお読みいただきありがとうございました。