イノベーティブ・スタートアップ 2019.03.05
TEXT:Team Nelco

インダストリアルIoT革命!製造業における4つの活用方法

IIoT

昨今、「Industry 4.0」という言葉を耳にすることが多くなってきました。Industry4.0を日本語訳すると、「第4次工業革命」という大げさな響きになりますが、一般的には製造分野でのIoTやデータ活用の普及のことを指しています。

また、元々Industy4.0は、2011年にドイツ政府が発表した製造分野でのIoT利用・デジタル化推進の国家戦略的プロジェクトの名称でしたが、いつしか製造業界のデジタル化推進全般を指すようになったようです。

工場内の機械や人の物理的な動きをIoTデバイスやシステムを通してモニタリングして、データを蓄積、業務の意思決定に関する作業も自動化してしまおうというのがIndustry4.0のコンセプトです。最近では、製造業の分野で使われるIoTのことをIndustrial Internet of Things (IIoT)と呼ぶようになりました。

高まるIIoTへの期待

Industry 4.0という言葉が社会に浸透し始めるにつれ、IIoTの成長に大きな期待が寄せられています。事実IIoTの導入により、製品製造とアセスメントに関わるコストの50%を削減させるとも言われているのです。

しかしながら、IIoT導入を実際に行っている製造業社はまだ全体の7%ほどにとどまっているのが実態です。これは言い換えれると、今後飛躍的に導入が進んでいくことが期待されているとも考えることができます。現にIIoTへの投資額は2015年、290億円であったのに対し、2020年には700億円まで増加すると見込まれているのです。

製造業界におけるIIoTの活用方法とメリット

ではIIoTの概念は実際にどのように活用されるのでしょうか。その活用方法を紹介していきます。また、製造業の分野でIoTやAIの技術を取り込むと、具体的にどのようなメリットが生まれるのかも紹介します。

1. 製造工程管理

これは工場内のあらゆる機器にセンサーなどを付け、その生産工程を1つのプラットフォームで一括管理するというものです。

これまで製造の情報管理は紙の書類に頼っていたため、時間の浪費やミスにつながることも多くありました。しかし、工場のデジタル化により、情報が一元化され容易に必要な情報を確認・管理することが可能になったのです。

このようなサービスを提供する会社にPlataineKextilが挙げられます。Kextilは工場内だけにとどまらずフィールドエンジニアの行動までを1つのプラットフォームで管理することができます。より広い範囲における製品製造プロセスの最適化・自動化の促進が可能になるのです。

デジタルコネクテッド・ファクトリーでは、機器に装着したセンサーの働きを活用して、製造工程のフローに問題がないかモニタリングすることも可能です。そこから得られたデータを蓄積して、最適なフローに改善するためのデータ解析も進められています。

Plataineの説明動画

2.工場設備管理

音声認識技術などを利用し、機器のパーツ交換や修理の時期をリアルタイムに認識するシステムの導入も始まっています。3DSignalsOtosenseはそのようなシステムを提供する会社の代表です。

彼らの音声認識技術には2つのアプローチがあります。1つは機械の異常音を察知することで、パーツ交換をユーザーに知らせる方法。もう1つは技術者が異常を察知した際にラベルを貼ってアルゴリズムに覚えさせるという方法です。

これまでは、定期的な点検などを行うことでそれらのメンテナンスに対応してきましたが、音声を認識して必要な時に効率的に機器のメンテナンスを行えることは製造業界におけるコスト削減に大きく貢献するというメリットがあるのです。

3. 品質管理

IIoTは製品の品質担保にも活用されていくことが期待されています。IoT技術により、品質を製造から流通までの様々なステージでトラッキングすることで、品質管理、向上に役立てるのです。

例えば、原材料情報、工場内の室温、排出されたゴミの量、製品輸送時の手段などの情報を一括して管理することで、問題が起こったときの原因解明や製品の品質向上に役立てることができるのです。

4. 在庫管理

在庫の管理や倉庫業のサポートにもIIoTが使われ始めています。例えば、Voxwareは、音声技術やモバイルデバイスを用いて倉庫業のデジタル化に貢献している企業です。このサービスにより倉庫内作業者は音声で在庫に関する情報を出入力することが可能になり、ハンズフリーで作業を効率的に行うことができます。

また、音声のみならず2017年からはARで作業指示やデータ確認をすることも可能にしました。従来からあったバーコードでのデータ管理に加え、作業者の作業状況や倉庫内の動きをリアルタイムで一元管理することができるのです。これにより管理者の業務や在庫管理の最適化のための分析をサポートしています。

倉庫でもIIoTを活用することで、在庫状況のデータをリアルタイムで把握することができ、製造量の調整を自動化することも可能になると考えられます。

voxware

(Voxwareを使った際の倉庫IIoT化のイメージ。同社ウェブサイトより転載)

これから急成長のIIoTに注目

以上のようにIIoTには、工場内の自動化、データの一元化、大幅な作業効率化、コストカットなどが大きく期待されています。製造分野におけるIoT活用は、直接エンドユーザーの目に触れる機会が少ないですが、工場や作業者にとっての利益だけでなく、品質の向上など消費者にとってもポジティブな影響が及ぼされると考えられます。

IIoTの活用により、消費者にどのような物を提供できるようになるのかをイメージし、これらの重要性を発信していくことも、IIoT関連会社にとって重要項目になると考えられるでしょう。前に述べたとおり、投資額の成長も5年で2倍以上と見込まれており、ここ数年での変化は目を離せなくなりそうです。

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