こんにちは、Nissho Electronics USAの小松です。
3月8日から3月17日まで約10日間に渡り、米国テキサス州オースティンでサウス・バイ・サウス・ウェスト(以下、SXSW。)が開催されました。
実際にイベントへ参加した私自身が肌で感じた3つの気づきをご紹介したいと思います。最新テクノロジー界隈で見られるトレンドや多くの日本企業にとってSXSWとはどのような場なのか、がわかってきました。
SXSWとは?
SXSWはもともと、音楽の街であるオースティンで1987年より音楽祭として始まったもので、のちに現在のような映画やテクノロジー要素が加わり、世界的に注目を浴びる最先端テクノロジーの祭典となりました。過去にはTwitterやAirbnb、Squareを輩出したイベントとしても有名です。
スタートアップ企業のピッチコンテスト、業界有名人が登壇するセッション、展示会場エリアが見所です。一部の展示会場のブースは国別になっており、毎年1月にラスベガスで開催されるCESと少し似通った雰囲気です。
また最近では、新たにコメディやゲームの要素が加わり、今まで以上に幅広い業界をカバーしています。
そして、今年はSXSW会場エリアの公式移動手段として、Uberが買収したJUMP(電動スクータや自転車のシェアリングサービス)が活用されました。
イベント開催中は街中がスクータと自転車利用者でいっぱいでしたが、便利な一方、エリアによっては電波環境が芳しくなく、乗り降りの際のアプリ利用がスムーズでなかったことが少し残念だったのを覚えています。
(JUMPアプリで会場周辺を検索すると数えきれない程の電動スクータが設置されていた)
1.テクノロジー分野における女性の活躍
テクノロジー分野においては、スタートアップ企業のピッチコンテストが見所の1つですが、個人的に目を引いたのは女性起業家の多さです。
複数あるピッチコンテストの中で、SXSW RELEASE IT、SXSW PITCHの2つが主要なものですが、数十という参加企業の約半数が女性起業家だったことは少し驚きました。意図的に女性進出を後押ししようという試みもあるのかもしれませんが、1つのトレンドとしてダイバーシティの浸透を強く感じました。
実際、今後の企業の存続と繁栄におけるダイバーシティの重要性に関するデータも出てきています。調査・コンサル会社であるガートナーによると、2022年までにダイバーシティや異文化を意思決定組織に取り入れる約75%の企業が、財務上の目標値や予算を超過達成するという予測もたてられています。
ちなみに、日本企業で唯一SXSW PITCHにノミネートされたStrolyのCo-Founder兼Co-CEOも女性です。日系スタートアップ企業の中でもダイバーシティの考え方が徐々に浸透しているように思います。
(スタートアップピッチでは女性の登壇者が目立つ)
2.テクノロジーにより多様な問題解決アプローチが可能に
SXSW PITCHは、AIやブロックチェーン、XR、ソーシャル等、複数のテクノロジー別にピッチコンテストが実施されました。中でもストレス対策は、これらのテクノロジー活用事例として多く取り上げられた分野の1つです。
ストレス過多は、仕事の生産性やアウトプットに密接に関わっており、売上減にも大きく繋がる要素であり、その対策に様々なテクノロジーが活用されています。
例えば、Healium はAR/VRテクノロジーを活用したストレス除去プラットフォームです。同社はAR/VR用ヘルスケアアプリケーションを開発している会社です。Museというウェアラブルデバイスで脳波を読み取ることで、脳波の状態をAR/VR画像で表す、という技術を開発しています。
例えば、脳波の状態が安定すれば画像上の花が咲いたり、太陽がきれいに輝いたりと、視覚的にわかりやすくなっているのです。この技術は病院やホスピスでの利用を目的としています。
また、Supportivは、NLPやAIを活用したストレス除去プラットフォームです。これは、同じ悩みやストレスを持っているであろう人々を1つのチャットプラットフォームに集め、コミュニケーションを通してストレス緩和を目指すツールです。
病院等で大量の質問に答えて処方してもらうのではなく、唯一1個の質問に対する返答をするだけで始めることができます。返答の仕方をNLPやAIが分析し、同じような境遇の人との接点を作ってくれるので、容易に、早期のストレス改善を図ることができるのです。
興味深かった点としては、マッチングした人たちが集まったチャットルームの会話のオーガナイザー役として心理学を専攻した大学卒業生や、現役大学生を起用していたことです。
このように、ストレス除去という1つの目的に対して1つの解決手法ではなく、テクノロジーの数だけ解決手法があるというのは、ビジネスの広がりを期待させる新たな発見でした。
3. イベント参加モチベーションの変化
今回SXSWに初参加し私が最も驚いたのは、参加している日本人の多さです。極端かもしれませんが、10m歩けば日本人、また10m歩けば日本人、そのようなイメージです。
勿論、日本人がそれだけ多い分、日本企業のアピールや露出度も非常に大きかったわけですが。
特にプレゼンスが高かった日本からのコンテンツは、今年でSXSW参加6回目となるTodai to Texasプロジェクト(東京大学産学共創推進本部が主催する、東京大学発のスタートアップやプロジェクトチームをSXSWへ出展することをサポートするプロジェクト。)のピッチコンテスト、メディアアーティストの落合陽一さんも登壇されたJapan Island(日本企業専用ブース)、展示会場内Japanコーナー、NHKとSONYの8Kシアタープロモーション等、だったように思います。
この点から、日本企業のSXSW参加目的が単なるトレンドショーにおける情報収集という観点から、自分たちのビジネスチャンスをグローバルに広げられるツールとして活用している、もしくはそうしていこうという印象を強く受けました。
他のカンファレンスでは中々感じることの出来ないものだったので、新鮮でしたし、SXSWのような世界中にインパクトのあるイベントなら尚更効果的なのでしょう。
(NHKとSONYが出展した8Kシアター内で投影された映像。音響を22個設置し、NHKの8K映像をSONYのLED Crystal Displayで投影している様子。)
お役立ち情報:早期予約、Airbnbでも無い、宿泊費を安くおさえるコツ
SXSW参加経験者から聞いていただけあり、イベント期間中、会場周辺の宿泊費はここぞとばかりに値上がりしていました。通常ではグレードの高くないホテルが、4つ星、5つ星ホテル並みに高騰しているくらいです。つまり1週間滞在ともなると、宿泊費だけでも相当な出費になるのです。
勿論、旅程を何か月も前から確定させられればディスカウントの効いたリーズナブルな価格で宿泊できるでしょう。また、ホテルは高いけどAirbnbなら費用を抑えられるのではと考える方も。それらも有効な手段ですが、今回私が取った手段はホテルをはしごするやり方です。実際、3つのホテルを活用しました。
実は1つのホテルに1週間ぶっ通しでの予約は空席無し、もしくは高額でも、それぞれのホテルの滞在日数を2日間ずつ等、小分けに手配すると、会場徒歩圏内のホテルに安価に宿泊できる場合があります。
チェックインしたと思ったら2日後にすぐにチェックアウトという形で若干忙しない手段ではありますが、全て徒歩圏内でホテルを確保すれば意外と快適です。宿泊先にお困りの際は、是非一度試してみてください。
Nissho Electronicsは最新テクノロジートレンドも視野に入れた、デバイスにとどまらない提案と構築・保守・運用の一貫したソリューションをご提供しています。サービスの詳細はこちらからご覧いただけます。また、弊社へのお問い合わせはこちらのフォームよりお気軽にご連絡ください。
過去参加レポートはこちら
・【SXSW2018】アクセラレーターピッチ優勝企業をレポート
・SXSW2017 現地レポート#1 – Startupの登竜門、Accelerator Pitch Event