シリコンバレーテクノロジー 2019.09.18

【InsureTech Connect 2019】参加者必読!直前におさえておきたい保険業界トレンド

insurtech 2019

こんにちは、Nissho Electronics USAの小松です。

いよいよ来週9月23日より、米国ラスベガスで保険業界の年次カンファレンス「InsureTech Connect 2019」が開催されます。

世界約60ヵ国から7000名以上の参加者が集う「InsureTech Connect 2019」は、同業界で最も大きなカンファレンスであり、保険会社は勿論、業界で活躍するテクノロジースタートアップやイノベータが一同に集結し、最新ユースケースやビジネスモデル等、様々な議論が活発に行われます。

今回は「InsureTech Connect 2019」開催に先立って、参加前におさえておきたい保険業界のトレンドを2回に分けてお届けします。第1回の本記事では保険業界の全体トレンドを、次回の記事では保険業界注目のスタートアップをご紹介予定です。是非ご一読ください。

保険業界で日本は注目されている

保険業界で活躍されている皆さまには釈迦に説法のお話かもしれませんが、業界における日本のポジションをまずはおさらいしておきたいと思います。

ご存知の通り、日本は保険大国。特に生命保険分野では世界第2位のポジションに位置づけられています。生命保険分野の市場規模は年間約40兆円超(年間支払いベース)と言われており、世帯あたりの保険加入率は9割にも及ぶとか。

先日、米国のみならず日本でも注目されているインキュベータ「Plug and Play Tech Center」で開催された保険業界イベントに参加しましたが、日本が保険大国であるがゆえに、保険ビジネスに関わる米国スタートアップ企業からも一目置かれている存在であることを実感しました。一般的に、海外のテックスタートアップからすると、日本企業は新しい技術やサービスの採用に関しては、少し保守的でスローなイメージを持たれる傾向にあり、どうしても日本は事業領域として後回しにされがちです。

その点、保険業界は少し違います。これは「InsureTech Connect 2019」に参加する際に第一におさえておくポイントです。

おさえておきたい3つのインシュアテックトレンド

「InsureTech Connect 2019」に参加される皆様には言うまでもありませんが、インシュアテックとは、Insurance(保険)とTechnology(技術)を組み合わせた造語です。保険版フィンテック等と呼ばれることもあり、保険業界の先進テクノロジー、またそれを活用した新たなサービスやビジネスモデル全般をさします。
「InsureTech Connect 2019」でも数多くのインシュアテックが登場し会場全体が盛り上がることでしょう。ここではそのインシュアテックに関わる3つのトレンドをマーケティング企業であるCBInsightsの調査情報を引用しながらお伝えします。

トレンド1:世界中から活発にお金が集まるインシュアテック

インシュアテック分野がどれだけ盛り上がっているかを測る指標として手っ取り早いのは、この分野における投資動向です。

2012年頃から動きが見られた同分野ですが、2018年時点では約4000億円超の投資が行われる規模にまで成長しています。現時点ではフィンテックh業界には劣りますが、投資件数、金額ともに毎年増加傾向にあり、最も活発にお金が動いている業界の1つです。これまでの投資案件の中では、Softbank Vision Fundが約500億円超を投資したCambridge Mobile Telematics社が有名ではないでしょうか。所謂、車両運手者向けの安全性向上のためのリスク分析等を行うプラットフォームを提供している企業です。日本のMS&ADグループもパートナーの1社になっていますね。

Insurance investment

(CBInsights What’s Next in Insuranceより引用)

トレンド2:競合より協業?保険会社とインシュアテックスタートアップの戦略的提携が加速

インシュアテックは、その企業もしくはそれ自身が保険サービスを提供できてしまうというのもポイントです。つまり、従来保険サービスを提供していた保険会社からすると競合になりうる可能性もあるということです。インシュアテックが保険会社の味方なのか、敵なのかはここ最近特に議論が進むトピックの1つです。 勿論、どう捉えるかは保険会社次第ですが、ここ最近の保険会社によるインシュアテック企業への投資動向を見てみると味方論が盛り上がっている気がします。

investment by insurers

(CBInsights What’s Next in Insuranceより引用)

トレンド3:異業種からの新規参入が活発に

米国でも日本でも目立ってきたのは異業種からの保険事業への新規参入です。

米国では、リテール大手のAmazon、Walmartの保険やヘルスケア分野への参入動向に注目が集まっています。両社はe-commerce業界では常に上位争いを繰り広げていますが、AmazonがJ.P Morgan等とヘルスケア企業を合弁で設立したと思えば、Warmartによる医療保険大手Humanaの買収着手など、各々本業ではない分野での動きが活発になっています。

過去にはメットライフ生命が「保険業界における未来の競合はGoogleやAlibabaだ」と少し突飛に思える発言をしていたことも記憶にあるかもしれませんが、今となっては十分に考えうる可能性を秘めていますね。

今年の「InsureTech Connect 2019」でもおもしろい事業提携や新規参入の取組が発表されるかもしれませんので、その辺りも注目して参加してみましょう。

次回は注目スタートアップのご紹介

さて2回にわたってお届けする次回は、インシュアテックの注目スタートアップを取り上げます。 今年の「InsureTech Connect 2019」で特に注目したいのは、「InsureTech Connect」と「Insurance Information Institute」による新たな取組み「 Resiliency Insurance Innovation Challenge」です。これは災害分野におけるイノベーティブなスタートアップを選考するというチャレンジで、次回記事では現在ノミネートされている3社を取り上げたいと思います。お楽しみに。

Nissho Electronicsは最新テクノロジートレンドも視野に入れた、デバイスにとどまらない提案と構築・保守・運用の一貫したソリューションをご提供しています。サービスの詳細はこちらからご覧いただけます。また、弊社へのお問い合わせはこちらのフォームよりお気軽にご連絡ください。

この記事を書いた人

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Nobuyuki Komatsu

2004年、日商エレクトロニクス入社。JuniperやBrocade、Viptelaなどネットワークを軸としたインフラ製品の事業推進や新規ベンダー立ち上げに関与。2017年10月よりサンノゼ赴任。シリコンバレーで得られる最新の情報を発信しつつ、新たなビジネスモデル開発に向け日々奮闘中。2020年現在の担当領域は、クラウドやフィンテック、インシュアテックなど。バスケットボールとキャンプが趣味。

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