シリコンバレーテクノロジー 2019.10.08

【TechCrunch Disrupt SF 2019】スタートアップバトルフィールドを制した「Render」とは?

Tech Crunch Winner

こんにちは、Nissho Electronics USA 能任です。

10月2日から4日にかけて、米国カリフォルニア州サンフランシスコでTechCrunch Disrupt San Francisoco 2019が開催されました。同イベントは2011年から続いているTechCrunch主催の年次カンファレンスで、スタートアップとテクノロジーの祭典となります。

同カンファレンスの目玉であるスタートアップバトルフィールドは、世界中が注目していると言っても過言ではない、スタートアップのピッチコンテストとなります。今回はそのピッチコンテストで激戦を制したRenderについてご紹介したいと思います。

Render誕生の背景

2018年に設立したRenderはサンフランシスコに拠点を持つマネージドクラウドサービスを提供するスタートアップです。背景には、スタートアップがAWSやAzureなどのクラウド上にサービス開発のための基盤を構築したり運用したりするために、DevOpsエンジニアのエキスパートやコンサルタントを採用する必要があるという問題があり、CEO兼ファウンダーのAnurag Goelはをこの状況解決を目的としてRenderを設立しました。

開発基盤の構築、パッチ対応など日々の運用、セキュリティー、アクセス管理などクラウドが普及した現在でも、安定・安全な開発基盤をクラウド上で運用していくためには多くのDevOpsエンジニアのエキスパートが必要です。驚くことに米国のDevOpsエンジニアの平均年収$104K(約1千100万円)、年間DevOpsエンジニアに支払われているお金は$68B(約7兆5千億円)に上ります。DevOpsエンジニアを雇うためには潤沢な資金が必要となり、スタートアップ企業には大きな課題の1つとなっています。

そんな状況のなか、AWSやAzureとは異なったアプローチでマネージドクラウドサービスを提供するのがRenderです。ここからはその特徴を紹介していきます。

Legacy Cloud

DevOps環境を整えるための複雑なエコシステムを説明したスライド

AWSのようにパワフル、Herokuのように管理が簡単

Renderの大きな特徴は、安定したクラウド基盤と、アプリを安定して動かすための監視やスケールなどの機能を両立して提供していること。これはいわばAWSとHeroku(2010年にセールスフォースが買収)の「良いとこ取り」だと言えるでしょう。

Render AWS Heroku

AWSとHerokuの良い所をRenderで実現するということを説明したスライド

誰でも構築可能なシンプルさを実現

サイト名、環境(Docker、Ruby、Rythoe3など)、Build Command、などの項目を入力することで基本セットアップが完了します。

Render UI

実際にRenderでデプロイする際のUI画面

安心のネットワーク&データバックアップ

セキュアなネットワークと自動バックアップの機能も提供しており、ユーザ側は安心してRenderサービスを利用することができます。

Render

プライベートネットワークと自動バックアップの説明スライド

サービスの成長率は毎月50%

Renderサービスは毎月50%の成長、HTTP Requestが1週間で100万という驚きの数字

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成長率とHTTP Requestの説明スライド

ターゲットはスタートアップ、個人の開発エンジニア

使える機能は限定されるものの、1つのサイトであれば無料で利用することができます。また有料プランもスモールスタートで月$7から提供しており、個人のエンジニアでも活用できる価格帯に設定されています。

GPU対応は今後に期待

ピッチコンテストファイナルの審査員であるMamoon Hamid氏(Kleiner Perkins)から挙がった「Renderの弱い点はどこか?」という鋭い質問に対して、Anurag Goel氏(Render)は「GPUを必要とするワークロードにはまだ対応できない点」だと回答。GPU対応は今後に期待ですが、すべてが完璧でなくてもピッチに登壇し、評価を受けることがきるいい例です。

Tech Crunch final

ピッチファイナルで審査員のQAに答えるRender CEO兼ファウンダーのAnurag Goel(右から2番目)

まとめ

今回初めて本イベントに参加して最も印象に残ったことはスタートアップの熱意とアイディアを肌で感じたことでした。今回紹介したRenderだけではなく、スタートアップバトルフィールドで輝いていた20社、ブースで参加者に自社の製品をアピールしているスタートアップなど、様々なスタートアップが世の中の課題を見つけて解決しようとチャレンジしている姿がとても印象的でした。

本イベントではスタートアップだけではなく、世界中から著名人もゲストとして招かれ講演していました。次回はその中から米国ヘッジファンド運営会社ブリッジウォーター・アソシエーツを創業したRay Dalio氏の講演について取り上げたいと思います。

Nissho Electronics USAでは、お客様のビジネスを共創&サポートすることを目指し最新のテクノロジートレンド、ユーザートレンドを日々調査しております。是非お気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

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Shuichi Noto

2008年にユニアデックス入社。5年間の大手通信キャリア向けの営業を経験した後、日商エレクトロニクスへ入社。大手OTTの情報システム部門向けにVDIやWeb会議などの働き方改革を促進するソリューションの販売に従事。2019年よりNissho USAに赴任。お客様のビジネスを共創&サポートできるようなソリューションの発掘を目指し日々活動中。担当領域はITインフラ全般、ヘルスケア業界、地域創生など。趣味はゴルフとサッカー。

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