シリコンバレーテクノロジー 2017.12.30

2017年注目トレンドを人気イベントから振り返ってみた!

こんにちは、Nissho Electronics USAの小松です。

赴任して3か月、ここ米国西海岸で微弱ながら初めて地震を体験しました。無縁の地だと思ったら大間違い、カリフォルニア近辺は断層が複数あり、過去より大小多数の地震が数多く発生する地震エリアであるとのこと。ちょっとした近況報告でした。

さて、あっという間の2017年、皆様はいかがお過ごしでしたでしょうか。2018年以降の更なる盛り上がりを期待して、2017年に話題になった注目トレンドを人気イベントで振り返ってみたいと思います。

1. 音声アシスタント

2017年は何といってもGoogle Home、Amazon EchoやAlexaに代表される音声アシスタント。家電製品のトレンド市であるCESではAmazon Alexaが特に大きく取り上げられました。数百もの企業とのエコシステムが続々と発表され、車に、冷蔵庫に、そして携帯電話にAlexaと連携目白押し、これからの主要ユーザインターフェースとして、音声がキーになるのは間違いなさそうです。

AWS Re:invent 2017でAlexa for BusinessとしてAWSのマネージドサービスとして発表されたのも記憶に新しいですね。皆様の日常業務が音声インターフェースでがらっと変わる日も近いかもしれません。

2. 自動運転

音声アシスタントと並びCESでより脚光をあび、先行組として独Daimler、Audi、米Tesla、Ford、GM等積極的な取組が見て取れる自動運転。NVIDIAやAmazon等、テクノロジー企業とのパートナーシップ発表も盛んに行われ、市販品としてのリリースも進められました。

日本でも日産、トヨタ、ホンダ等主要メーカーの活動は市販品から実証実験レベルまで様々ですが、世界各国で自動運転定義レベル4(完全自動走行、場合によってはレベル4と5に分割)への開発競争が今後より加速することでしょう。

3. Business Driven SecurityとCASB(Cloud Access Security Brokers)

RSAカンファレンス 2017では、「Business Driven Security(経営主導のセキュリティ)」という考え方が強く提唱されました。サイバー攻撃の解明と原因や回避策を考慮するセキュリティ(IT)担当者と、社会への影響やビジネスインパクトを考慮する経営担当者の間に生じるギャップを埋めることがセキュリティ業界のカオスを乗り切るには重要だというのです。

細部に目を向けると日本でも話題だったのは、CASBではないでしょうか。働き方が従来のものとがらりと変わり、クラウドを活用することによる利便性向上がある一方で意識すべきセキュリティもまた重要です。CASBは可視性、脅威防御、コンプライアンス、データ保護の4機能を備え、企業のクラウドサービスのコントロールポイントとして位置づけられます。

Gartnerが2016年最も優れたセキュリティ技術として発表して以来、2017年後半にはおよそキーワードとして定着してまいりましたが、ビジネスとして発奮するのはこれからでしょう。

4. ICO(Initial Coin Offering/クラウドセール)

ビットコイン等の仮想通貨価値が激しく値動きしているのはご存知の方も多いかもしれません。ブロックチェーンというテクノロジーがより世に知れ渡るきっかけになったのも、仮想通貨ではないでしょうか。

金融/決済系イベントとして知られるMoney20/20 2017では、ICOが取り上げられました。これはブロックチェーン上で新たに仮想通貨を発行し、投資家に向けて販売することで資金を調達するプラットフォームを指します。ある種クラウドファンディングのようなもので、公開前の新規仮想通貨を販売することから仮想通貨界のIPOと呼ばれることもあります。

ここ最近ではスタートアップのシードマネー調達手段等として急速に注目を集めています。仮想通貨やブロックチェーンというキーワードが金融界にとどまらず、広く他業種へ浸透していくことで、ますます注目されるキーワードになりそうです。

ちなみにAIを活用した未来予測プログラム「ウェブボット」による仮想通貨相場予測、等も巷では盛り上がってるのでご興味ある方は検索してみてください。

5. Network Slicing(ネットワークスライシング)

IoT普及に伴い5G(第5世代無線通信)に関する議論が活発になっているなか、欠かすことができないテクノロジーとしてネットワークスライシングが挙げられます。

モバイル業界最大イベントであるMWC(Mobile World Congress)や、OCP(Open Compute Project)のパートナー役として注目が高まるTIP(Telecom Infra Project)でも取上げられました。2G = カバーエリア、3G = 可用性、4G = 広帯域 と各世代で重要視される項目が変遷するなか、5G = 区切られた体験/経験(Distinct Experience)と示されるように、接続されるデバイスやモノ、ヒト等が増えていきます。それにあわせ、異なる端末、クライアント毎、さらにはサービスレベル毎にEnd to Endのより細かなネットワーク制御が必要になります。

2017年末の3GPPによる5G標準仕様初版完成を受け、ネットワークスライシング実現に向けた事業者、ベンダー各社の取組はますます盛り上がってきそうです。

6. Service Mesh(サービスメッシュ)

GoogleがRed Hat等と共同で製品化したコンテナの運用管理ソフトウェアKubernetes(K8S)。ここでは専門イベントであるKubeconで数多くの新規プロジェクトが発表されたサービスメッシュを挙げます。

コンテナ利用実例が増え、徐々に成熟に向かうにつれて、コンテナを取り巻く周辺技術への注目度が増しています。サービスメッシュは、コンテナで構築された種々のサービス間連携を意味し、ルーティングルールやロードバランスの実現、暗号化通信や認証、ポリシーの設定、そして全体のモニタリング、冗長性を担保する等の技術総称を指します。

サーバーレス、そしてマイクロサービス化が進むにつれて、K8Sユーザに限らず、今後のWebスケールサービスにとって重要な役割を担うことになりそうです。

おわりに

今回は2017年を振り返り、「6選」という形でトレンドを取り上げましたがいかがでしたでしょうか。賛同頂けるもの、頂けないもの様々かと思いますが、少しでも皆様のビジネスのお役に立ててましたら嬉しいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。Nissho Electronics USAではシリコンバレーから旬な最新情報を提供しています。 こんなことを調べてほしい!などございましたらぜひご連絡ください。

この記事を書いた人

この記事を書いた人

Nobuyuki Komatsu

2004年、日商エレクトロニクス入社。JuniperやBrocade、Viptelaなどネットワークを軸としたインフラ製品の事業推進や新規ベンダー立ち上げに関与。2017年10月よりサンノゼ赴任。シリコンバレーで得られる最新の情報を発信しつつ、新たなビジネスモデル開発に向け日々奮闘中。2020年現在の担当領域は、クラウドやフィンテック、インシュアテックなど。バスケットボールとキャンプが趣味。

この記事をシェアする

私たちと話しませんか?