イノベーティブ・スタートアップ 2018.12.06
TEXT:Team Nelco

Amazon Goだけじゃない。AI導入で注目のレジなし店舗

Amazon go

サンフランシスコでは、Amazon Goを始めとしたレジなし店舗が広がりを見せています。レジなし店舗とは実店舗で買い物する際に、レジでの支払いを通すことなく購入できるお店のことを言います。

レジなし店舗の売りのひとつはその買い物体験です。利用者が決済の手間を意識することなく買い物をすることができます。そしてこの体験を実現しているシステムのひとつがAI。現在、店内での追跡センサーによる行動認識やAIを含むレジなし店舗のシステムの市場規模は年間90億ドルになりました。そして2022年までに780億ドルまで増えると予想されています。

レジなしストアは人員の削減や処理能力の増強だけではなくAIを使った今後のデータ活用にも注目が集まっています。

そこで本記事では、レジなし店舗のAI導入がもたらす体験に注目し、Amazon GoとStandard Market、AiFiのレジなし店舗3社について詳しく紹介していきます。

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そもそも従来のコンビニやスーパーマーケットとはどう違うのか

レジなし店舗の最大の特徴は、買い物する際にレジに並んで決済をするという行為が無くなるという点です。

多くのレジなし店舗はスマートフォンと連動した決済の仕組みを取り入れています。まず事前に専用アプリをダウンロードします。入店の際にQRコードの読み取りや追跡センサーなどによってアプリ内のアカウントと来店した本人が紐つけられます。退店時にそのアカウントを通して自動決済処理がされるといった流れがほとんどです。

つまり利用者は欲しい商品を自分のカバンに入れたりや手に持ったまま、レジを介さず店を出ることができます。すると商品の請求がアプリ経由で届き、自動決済されるという仕組みです。

これにより利用者はレジ待ちの行列や、わずらわしい現金処理から解放されます。

また、店員は商品の陳列や接客に専念することができるので、利用者の買い物体験がますます便利かつ満足度の高いものになっていきます。

それでは実際にAIを導入したレジなし店舗によって買い物体験に革命を起こしつつある企業3社を紹介します。

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1. Amazon Go: Amazonによるレジなし店舗

2018年10月、小売大手アマゾンのレジなし店舗であるAmazon Goがサンフランシスコにオープンしました。

早速訪問した人の感想としては「商品をレジ通さずに持ってお店を出るので最初は戸惑ったけど使ってみるとすごく便利だった」、「レジなし店舗と聞くと店員さんがいないのかな?と思ったけど、入り口や店内に店員さんがたくさんいて、親切に説明をしてくれた」などといった声がありました。

amazon go

(サンフランシスコAmazon Goの様子)

以前、実際にAmazon Goに訪問した際の体験レポートである「次世代の買い物体験を創る『Amazon Go』に潜入」でもお伝えした通り、アマゾンは2016年12月、シアトルにある本社にAmazonGo1号店をオープンしました。

それ以降米国内で続々と店舗を増やし、現時点(2018年12月)では米国内に7店舗あります。さらに2021年までに店舗数を3,000まで増やす計画があるとも報じられています。

(アマゾン公式YouTubeチャンネルより転載)

もちろん店内のシステムにはAIが導入されています。店内の天井には複数のカメラが設置されおり、棚には重量センサーがあります。そこから読み取られた情報をAIが処理し、入り口でスキャンした個人のQRコードと紐づけてそれぞれが手に持っているもの(鞄に入れているもの)を特定しているのです。

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(店内にあるRGBカメラ。人やモノの動きを認識していると思われる。TechCrunchより転載)

またオンラインサービス利用者のセキュリティーに対する関心が高まる昨今、Amazon Goは顔認証の技術を使っていないので顧客のプライバシーにも配慮した設計になっているという評価もされています。

2. Standard Market: 日本への進出が決定したレジなし店舗

standard_cognition

公式ブログより転載)

Standard MarketはAIによるレジなし決済システムを開発しているStandard Cognitionが直営しているレジなし店舗です。

サンフランシスコに本社を置くスタートアップである彼らは、AIによるのチェックアウトシステム『Standard Checkout(スタンダード・チェックアウト)』というAIを活用したシステムを展開しています。

基本的な仕組み、使い方はAmazon Goと同様ですが、入店時のQRコードスキャンは不要なのでさらにシームレスな買い物体験が可能になりました。

(Standard Cognition公式YouTubeチャンネルより転載)

またAmazo Goとは異なり、追跡センサーではなくカメラのみによって人を認識しています。そのため、導入コストも比較的軽減することができるのです。

彼らのシステムはAIの技術により、顔認証を行うことなく購入したものを追跡することが可能です。このようにプライバシーの保護を行いつつ、匿名化された顧客分析が可能な点もStandard Checkoutの魅力です。

(Standard Cognition公式YouTubeチャンネルより転載)

そしてStandard Cognitionの今後の展開は注目を集めつつあります。2018年11月には4,000万ドルの資金調達が完了したことが発表され、累計の資金調達金額は5,110万ドルとなったのです。

さらに日本への進出も決まっていて、2019年初めに試験店舗をオープンする計画だそうです。マイケル・サスワル最高執行責任者は「2020年の東京五輪までに3000店に導入したい」と発言し、日本進出において意気込みを見せています。

3. AiFi: 小規模店から大型店まで導入可能なレジなし店舗

AiFiはサンフランシスコに本拠地を置く2016年創業のスタートアップです。GoogleやApple出身の創業者によって設立されました。

独自のAIセンサーとカメラネットワークベースのシステムを持っており、小規模の店舗から大手小売業者まで対応が可能だと言います。既存の店内カメラにAIの技術をインストールすることで、認識システム導入コストを最小限に抑えて稼働させることができるのがポイントです。

また、AIベースのシステムによって顧客行動・在庫管理を把握できます。つまり、顧客の平均滞在時間や好みといった顧客情報を分析したり、リアルタイムでどの商品がどの棚から減っているのかがわかるのです。

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AIレジなし店舗導入で変わる流通業界の今後

今回はAIを基盤システムとしたレジなし店舗3社をご紹介しました。サンフランシスコ・シリコンバレーでは、上記3社以外にもZippinAipolyなどAIを活用したレジなし店舗を展開するスタートアップが存在していて、今後その動向に目が離せません。

日本でも人手不足解消という側面からレジなし店舗の実用に向けた様々な取り組みが行われています。東京都赤羽駅(北区)のAIレジなし店舗では、Suicaで入店が完了し、同時に3人まで入店できる店舗の実証実験がスタートしています。

AIの活用によって世界の流通業界における顧客体験をより便利にストレスフリーに変える日がもうそこまで来ています。

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