こんにちは。Nissho Electronics USA山本大輔です。
先日、大盛況の中、行われたAWS Re:inventに参加してきましたので、その内容についてレポートします。
AWS Re:inventとは?
AWS re:Inventは、年に1度開催されるアマゾンウェブサービスのユーザーカンファレンスです。世界各国からユーザー、パートナーが一堂に会するAWS最大規模のグローバルイベントであり、毎年多くの新サービスや新機能が発表されます。
2012年から始まり、2016年で通算5回目となります。今年は昨年の2倍となる400以上のブレイクアウトセッションが開催され、参加者は32,000名が募りました。(第1回目は6,000名)
開催場所はネバダ州ラスベガス。会期は2016/11/28-12/2です。
Amazonのすごさを痛感しました
Amazonされ見ていれば、全てのテクノロジーがカバーできるのでないかと思うほどのカバレッジでした。機能追加のスピードが他の追随を許さないほど。2016年の新機能、新サービスのリリースは1,000件にのぼります。2日間のKeynoteで発表された新サービスの数はなんと24です!
32,000名もの参加者が集い、どのセッションもほぼ満席でした。イベントのOrganization(なぜかバッティングセンターやら、ゲームパークもありました)含め、Amazonのものすごい勢いを感じます。日本人も500名以上参加しているのではないでしょうか。
2015年時点で、2005年のAmazon.comが動くのに必要だった規模のインフラを毎日増設しているというのも驚きでした。また、カスタムチップベースで独自にルータを作っていたり、HWベンダーをも凌駕する機器を独自設計していました。
新たに発表されたサービス
公式サイト含め、既に多くの方が纏められているので、さらっと概要だけ。
EC2インスタンス
EC2インスタンスは現在9つの種類がありますが、新たにT2.2xlarge、メモリ容量が倍になったR4、I2より数倍IOPSに優れたI3、パフォーマンスが倍になるC5を発表しました。
また、FPGAが接続されたF1インスタンスをプレビューとして発表し、加えてVPSを簡単にリリースする新サービスAmazon Lightsailをリリースしました。これはイメージを選んでクリックするだけで簡単にVPSが起動するシステムで、一番安価なのは$5とのこと。
GPUを少しだけ使いたい、というワークロードの要望を受け、Elastic GPUs For EC2をリリース。Elastic GPUはEC2にGPUをマウントするもので、少しのGPUを使いたいというワークロードに適しています。
Amazon Athenaをリリース。インタラクティブなクエリサービスで、S3で簡単なSQLを実行して使うことができます。ディレクトリを通じてデータをロードしなくてもS3で実行可能であり実行速度も速いです。Redshift、EMR、Athenaもユースケースによって適切に選択できます。
AIサービスの発表
まず、発表されたのがAmazon Rekognition。イメージをAPIまたはSDKで渡すことで分析可能。表情分析、顔のマッチングも可能。
次に、Amazon Polly。Text to Speechサービス。Pollyによってテキストを分析し、MP3で再生。略称を正式名称に変換するなどインテリジェントに動く。26の言語に対応。最後がAmazon LEX。LEXは自然言語の認識、自動音声認識のためのテクノロジー。AlexaのプラットフォームやEcho関連のデバイスに適用。LEXが音声を受け取るとLambdaで処理して返す。
PostgreSQL For Auroraを発表
AuroraはMySQLとPostgreSQLのコンパチブルに。PostgreSQLからAuroraへの移行はとてもシンプル。PostgreSQLのスナップショットをAuroraに入れるだけ。
オンプレとAWSをシームレスに。VMware Cloud On AWSの発表
VMwareの環境をそのままAWSで使うことができる。VMwareのライセンスをそのままAWSに適用できる。
IoTデバイスの爆発的普及予測を受け、AWS Greengrassの発表
Lambda ComputeをIoTデバイスに組み込むサービス。データキャッシングをローカルで出来る。
AWS Snowball Edgeの発表。容量は100TBと従来のSnowballの2倍。クラスタリングの機能もある。S3エンドポイントにデータを投入可能。Greengrassが入ってる。大容量データ向けにAWS Snowmobileの発表。100PBのコンテナトラック。この発表には笑いの混じった歓声が起きる。
AWS OpsWorks For Chef Automateのリリース。Chefサーバの運用管理を不要にする。
Amazon EC2 Systems Managerのリリース。パッチの適用やどんなパッケージがインストールされているのか、リソースの管理などを提供。
AWS CodeBuildのリリース。CI/CDではSourceをCodeCommitで管理し、DeployはCodeDeployで行えたが、欠けていたBuildサービスを提供。
AWS X-Rayのリリース。MonitoringツールはCloudWatch Metrics、Events、Logs、CloudTrailがあるが、レイテンシなど、アプリケーションをもっと深堀することが可能。
AWS Personal Health Dashboardのリリース。パーソナライズされたダッシュボード。全てのリージョン、全ての情報を、パーソナライズして一元管理できる。
AWS Shield For Everyoneのリリース。Volumetric DDoS Attackを防ぐ。全てのお客様にデフォルトで提供し、ネットワークレベルとトランスポートレベルの攻撃を防ぐ。加えて、AWS Shield Advancedのリリース。L7の攻撃も防ぐことができる。
Amazon Pinpointのリリース。Customer Engagementをトラッキング可能。Data WarehouseとしてAmazon Redshift, BIツールとしてAmazon QuickSight、検索ツールとしてAmazon Elasticsearch Service、上述のAmazon Athenaに加え、データ解析のポートフォリオを拡充。更にAIサービスやAmazon Machine LearningによりPredictive Analyticsも可能。
AWS Glueのリリース。Glueではデータカタログによって、S3、RDS、DynamoDB、オンプレミスも含め様々なデータソースを管理でき、データストア間でデータを簡単に移動できる。そして分析エンジンが求めるデータ形式に変換するETL機能を持つ。
AWS Batchのリリース。Fully Managedなバッチプロセスサービスで、柔軟にスケールし、高速でダイナミックにバッチ処理を行える。
Bloxをリリース。オープンソースのプロジェクトで、コンテナの管理やスケジューラーをECSと連携して提供。TitusやFenzoを開発したNetflexからの要望がベースか。
ServerlessサービスであるAWS Lambda関連では、リクエストが多かったC# In AWS Lambdaをリリース。Lex、Greengrass、Snowball edge、Alexa Skill KitもLambdaを使っている。LambdaファンクションをCloudFrontエッジで実現するAWS Lambda@Edgeをリリース。マイクロサービスのコンポーネントをビジュアライズ化したワークフローとして管理できるAWS Step Functionsのリリース。
新しい発表が多すぎて、思ったより長文になってしまった。。
まとめ
私自身は今回初めてのRe:inventへの参加でしたが、その規模感、AWSの勢いに圧倒されっぱなしでした。AWSは我々にとってチャンスにも脅威にもなりうる存在と感じました。
過去10年間はクラウドを信じてもらうという作業が発生していましたが、もはやクラウド・ファーストの時代であり、その勢いはますます加速していくことでしょう。
その勢いを支えるのが、次から次へと発表されるInnovation。ユーザから話を聞いてみても、圧倒的シェアがあるからAWSを選んだというより、ものすごいスピードで機能追加を提供してくれるため、その恩恵を受けることで、企業の変革を進めることができるという理由が多かったように思います。
もはや、インフラは完全に”Invisible”になり、その上で動かすものが企業の競争力を高めることになります。今回のRe:inventでもテーマになっていた”Transformation”。まさに全ての企業は”Digital Transformation”が最重要課題になるのではないでしょうか。
今後もAWSの動向は要Watchですね!
Nissho Electronics USAは上記のようなトレンドを把握の上、来るべきデジタルビジネス時代に備え、様々な観点からシリコンバレーで調査を行い、日商エレクトロニクスと連携し、お客様に対し最適な提案をしてまいります。お問い合わせフォームより、どうぞお気軽にお問い合わせください。