Apple WatchやFitbitなど、非接触決済機能を搭載したスマートウォッチの活用は、Withコロナ、Afterコロナ時代において自ずと需要が高まることが予測されます。しかしその機能性の高さゆえやや高額なこともあり、手が出しづらいという考えをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
では、その機能やサービスを無料で利用できるとしたらどうでしょうか?今回は、そんなビジネスモデルを実現するスタートアップ、Coilpayをご紹介します。
狙うはZ世代、ウェアラブル ✖ 銀行の新たなビジネスモデル
Coilpayは、健康管理や決済、金融サービスを提供するスマートウォッチを開発し、銀行に販売するビジネスモデルを採用しています。なぜターゲットを銀行に絞っているかというと、銀行の抱えている課題とスマートウォッチを活用するエンドユーザーの要望を同時にかなえることができると考えているからです。
同社調査によると、スマートフォンに搭載されている電子マネー機能より、ウェアラブルデバイスに搭載されている電子マネー機能を利用するユーザが何倍も多く、それは特にZ世代など、若者層に見られることがわかりました。顧客体験として便利で使いやすいものを選んでいるということになりますが、実はそこが銀行の抱えている課題にはまります。
フィンテック企業の台頭で、銀行は既存ユーザが新たな金融サービスへ乗り換えることを阻止することが課題となっています。また新規顧客として若者層を取り入れるために、若者を惹きつけるサービスモデルも必要です。
そこで活躍するのがCoilpayです。Coilpayは、銀行へスマートウォッチを販売し、銀行はこれまでのカードの代わりにそのスマートウォッチをユーザへ無料で配布し、銀行サービスを活用してもらいます。
財布として使えるCoilpayの特徴を簡単にまとめます。
- 世界で最も普及しているMifare ICチップを搭載し、NFCによる非接触決済に対応
- 銀行口座残高チェックや利用履歴などの確認が可能
- 電池が切れても物理カードのとして動作させることが可能
- AIによる利用分析で資産管理、運用に役立てることが可能
- ホワイトラベルソリューションとして銀行ブランドでサービス提供が可能
- APIを通じた銀行システムとのインテグレーションが可能
- 非接触決済サービスを提供していない銀行にも有効
- スーパー、パーキングアプリや入退室管理など、3rdアプリ連携によるエコシステムを形成できる
- メールや電話受信は勿論、健康管理を目的としたヘルスケア端末として利用可能
- 人の手から外せば自動ロックするなど、セキュリティ機能も充実
NisshoUSA注目ポイント
既にこのビジネスモデルはヨーロッパで新たな銀行サービスの形として始まっています。銀行サービスとして、これまでのカードから、このようなウェアラブル端末に置き換わる顧客体験を、日本のZ世代も本当に望むのか、日本の金融機関でも受入れられるビジネスモデルになりうるのか非常に興味があります。
また、日本においてはFelicaとの連携に期待しています。Mifareは世界的には有名なICチップ技術です(日本ではたばこを購入する際に利用するタスポで活用)が、日本ではFelicaが主流だと思っています。理論的にはCoilpayもFelicaとの連携が可能ですが、銀行が無料配布するだけのコストメリットが出せるのか否かは気になります。まだまだスタートしたばかりの会社なので、アジア、日本展開する際にはその辺りに注目したいと思っています。
会社概要
設立年 | 2019年 |
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所在地 | 米カリフォルニア州サンフランシスコ |
従業員 | 10名程度 |
創設者 | Aljaz Andrejas(CEO) |
資金調達 | Seed |
VC | Startupbootcamp |
URL | https://coilpay.io/ |
※crunchbaseデータベース参照
最後までお読みいただきありがとうございました。
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