シリコンバレーテクノロジー 2018.09.18
TEXT:Team Nelco

Dreamforce 2018参加前に押さえておきたいポイント

今年もSalesforceによる世界最大級のソフトウェアカンファレンスイベント「Dreamforce(ドリームフォース)」が、9月25日(火)〜28日(金)にかけて米国サンフランシスコの中心部で開催されます。今年で16回目を迎える本カンファレンスですが、毎年参加しているという読者の方も多いかもしれません。

Dreamforceでは、金融、輸送、農業、医療、教育、エンタメなど、ありとあらゆる業界で世界レベルのイノベーションを率先するリーダーたちがキーノートスピーチやパネルディスカッションに登壇します。昨年は4日間で3200を超えるセッションが行われ、17万人以上の来場者が訪れました。

Dreamforceの魅力

これまでに前米大統領夫人のMichelle Obamaや世界経済フォーラムの執行会長であるKlaus Schwab、ハリウッド女優のTaraji P. Henson、YoutubeのCEOであるSusan Wojcickなどがスピーカーとして登壇してきたことからもわかるように、Dreamforceはもはや単なるソフトウェアカンファレンスではなく、世界のイノベーションを促進するための一大集会と言っても過言ではありません。

またDreamforceでは、参加者同士の新しいコミュニティ形成も重要なミッションとして捉えられています。カンファレンス内では、ネットワーキングを行いやすようなスペースが業種ごとに設けられていたり、ラウンドテーブルやワークショップ形式のセッションも数多く準備されていたりします。カンファレンスのオープニングやクロージングでは、Red Hot Chili PeppersやBruno Marsのような有名音楽アーティストなども招いたレセプションパーティも豪華に行われます。通常のテックカンファレンスにあるような堅苦しさを取り除いた気軽な雰囲気で、他の参加者とのネットワーキングが行えるのも特徴です。

今回は、Dreamforceの過去の変遷を辿りながら、今年はどんなことが期待できるのか、現地に出向く前にチェックしておきたいことを紹介していきます。

Dreamforceの変遷

今でこそ来場者17万人という世界最大規模のカンファレンスとして知られるDreamforceですが、2003年に開催された第1回目では来場者が約1000人と現在の150分の1程度の規模でした。スピーカーはSalesforceのCEO、Marc BenioffやMicrosoftの元CTOであるDavid Vaskevitch、Googleの元製品担当バイスプレジデントのAdam Bosworthなど、ここ数年よりもIT業界に寄せたものでした。

また当時のプレスリリースには「最新版Salesforce製品のお披露目とエキスパートによる直接指導が受けられる」と謳われており、自社製品のプロモーションイベントに近いものだった様子が伺えます。

年々参加人数が増え続けているDreamforceですが、その背景にはIT界隈だけでなく様々な他業界もカバーするコンテンツの幅広さが見受けられます。実際に近年Dreamforceはソフトウェアの力を通じてより良い社会を作るコミュニティ形成の場という、単なるテクノロジーの領域を超えたミッションを掲げています。

例えば、2015年からはDeloitte Digitalがスポンサーとなって、Dreamforce Equality Summitが丸1日かけて行われるようになっています。このEquality Summitでは、社会の平等や多様性に関するテーマをFortune500と呼ばれるような企業やスタートアップのCレベル幹部、社会活動家やセレブリティが一体となって考え議論します。初回はすべてのプログラムを女性だけの手によって作り上げるというテーマで行われていました。

また今年は、Fortune500で初のラテン系CEOであるアメリカの電力会社PG&EのGeisha J. Williamsや医療グループ企業Kaiser GroupのCEO、Bernard J. Tysonなどが登壇し、社員のための平等な職場を実現させる方法から「CxO」としてのリードの取り方、ホームレス問題の解決に至るまで話されることが予定されています。登壇当日に明かされるシークレットゲストとして、誰もが知るような有名人が登壇することも決まっているようです。

今年参加するなら、頭に入れておきたいポイント

2003年から現在まで大きな成長を見せてきたDreamforceですが、今年もますますパワーアップしたコンテンツが多数期待されています。ここからは、今年のDreamforceを十分に楽しむために知っておきたいポイントを3点紹介します。

1. 専用アプリを使って自分のスケジュールを決めよう

DreamforceではSalesforce EventsアプリがiPhoneAndroid向けに作られており、これをダウンロードして会場に向かうことがまず行うべき準備の1つになります。今年のDreamforceでは今発表されているだけでも2700以上のセッションが予定されており、当然ながらすべてを見ることは出来ません。そのため、自分に必要なイベントを取捨選択しながら効率的に回っていくことがDreamforce参加の成功を左右する鍵になります。実際どのような催しが行われているのか把握するだけでも一苦労というのが正直なところでしょう。

そこで便利なのがこの専用アプリで、自分用のアジェンダをアプリ内で管理、会場内のマップの確認や特に注目される主要なスピーチやアクティビティもしっかりマークしておくことができます。また、サンフランシスコ市内の回り方についてもサポートしてくれる機能があり、初めてDreamforceに参加する人にとっては心強い味方になること間違いなしです。

これはDreamforceの公式ウェブサイトでも閲覧可能なことではありますが、教育や健康、小売、非営利分野など多岐にわたる業界から自分の業界や興味のある業界でソーティングすることでそれぞれにオススメのプログラムを表示することも可能です。

2. Trailblazer Communityを活用してネットワーキングを効率化!

Dreamforceには世界から優秀な人材が集まります。カンファレンス運営側もそのような参加者が多くの新しい出会いを見つけ、意見やアイデアの交換を通して良いコラボレーションを作り出す場にしようとプログラムを組んでいますが、それでも参加者の多くの方からすれば「誰に話しかければいいかわからない」「どこにいくのが一番効率的にネットワーキングができるのかわからない」といった不安があるでしょう。

そこでひとつ心強いツールとして覚えておきたいのがTrailblazer Communityの存在です。Trailblazer Communityはオンラインで様々な分野ごとに形成されており、すでに何千人の規模のDreamforce参加予定者たちが各コミュニティに参加しています。参加者たちは各分野に関連する情報を投稿・共有し、Dreamforce開催前からどのような人が来場するのか、どのような関連イベントが行われているのかなどを把握することができます。また、投稿を通して事前にコミュニケーションを図ることも可能なので、効率よくネットワーキングを行うのに役立つツールでしょう。渡航前にチェックしておいて損のないツールだといえます。

3. AI x IoT:最新技術の利用動向

毎年、DreamforceではSalesforceのCEO Marc Benioff から最新技術の発表や今後の会社の方針が発表されます。世界規模でソフトウェア開発を牽引するSalesforceの最新動向は今後のプロダクト開発の可能性を大きく広げますから、パートナー企業のみならず、すべてのソフトウェア関連企業が把握しておきたい情報でしょう。

昨年のDreamforce2017では「my」の冠をつけた5つのプロダクトが発表され、中でも各ユーザーが自身でカスタマイズしたデータにもとづいてAIを搭載したり、アプリ作成を簡単に行えるようにした「myEinstein」についての発表がハイライトだったと言われていました。

今年上半期には、SalesforceがソフトウェアインテグレーションのMulesoftを買収したことが注目されましたが、それに伴い昨年発表された「my」シリーズの中でも「myIoT」への新機能に期待が寄せられています。「myIoT」はDreamforceユーザーが、マーケティング、セールス、サービスなどの部門をまたいで、IoT開発をサポートするサービスですが、今年はAIを搭載した最新機能が追加されるとの噂がささやかれています。

今回のDreamforceでは、最新AI技術がどのように今後のIoT開発を支えるかというテーマを、少し先の未来というレベルではなく、すぐにでも実施できるような規模感で提示されることが期待されているのです。

もはやソフトウェア企業に限らず、どんな業界であっても、モノとインターネットをつなげたシステムの構築は無視できない世の流れができているのは事実です。その一方で、IoTの開発は複雑で専門家のサポートが必須なケースも多く、自社開発のハードルは決して低くありません。SalesforceのようなSaaS企業が提供してくれるサービス動向は見逃せません。

AIとIoTに限らず、SalesforceはBlockchain技術の開発にも乗り出したことが注目され始めています。こちらに関連した最新情報も今年は注目です。

4. オープンしたばかりのSalesforce Transit Centerに注目!

最後に、今年特に注目したいSalesforceの動向を紹介します。それは、Dreamforceを主催するSalesforceが今年8月に街の交通機関のハブ施設であるSalesforce Transit Centerをオープンさせたことです。

Salesforce Transit Centerは、シリコンバレーをはじめとするサンフランシスコ近隣の地域や空港までを結ぶ鉄道であるBARTやCalTrain、市内の移動に便利なバスやトラムだけでなく、全米を結ぶ長距離バスや鉄道のAmtrackまで、あらゆる移動手段を集約しています。さらに、シェアライドサービスのUberやFord Go Bikeなどのシェアサイクルのステーションなども併設されているため、今のサンフランシスコ市民の間で浸透するシェアリングエコノミーの現状も垣間見ることができます。

Salesforce Transit Centerは建物自体の独特な形状から注目を集めていますが、その他にも建物屋上にあるSalesforce Parkは必見です。世界中の地中海性気候の植物を集めた公園の中にスポーツやアートのクラス、コンサートやスウィングダンスなどが日常的に開催される市民の憩いの場として機能している点から、サンフランシスコでは8月のオープンから大きな注目が集まっています。今年はこのSalesforce Parkも会場の1つとして利用される初のDreamforceになることから「何か特別イベントがあるのでは?」と噂されています。Dreamforceに参加される方はぜひこのSalesforce Transit Centerと屋上のSalesforce Parkを忘れずに立ち寄ってみてください。

Dreamforceを活用しきるために

他にも今年はライブゲストとして、有名ヘビーメタルバンドグループのMetallicaが会場で演奏することが発表されていますが、超がつくような有名人による目玉コンテンツは当日まで発表されないなど、開催まで明かされないことも多いのがDreamforceです。できる限りの準備を尽くして、有意義な4日間にしたいですね。

Nissho Electronics USAではこのDreamforce 2018のイベントレポートを後日配信予定です。これまでも本ブログでは、役立つ最新テクノロジー情報だけでなく、このようなカンファレンス型イベント参加を成功させるための情報も紹介してきました。過去記事では、レセプションパーティの活用方法やイベント終了後の資料・動画のダウンロードについてなど書いていますので、他の記事と合わせて渡航までの参考にしていただければと思います。

他にもこんなことを調べてほしい!などございましたら、こちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。日商エレクトロニクスのサービスの詳細はこちらから

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