米国では公共サービスやインターネットサービスの問い合わせなど、日常生活の多くの場面でテキストチャットや音声ボットによる対話型の顧客サービスが提供されています。ボットのクオリティはまちまちですので、やりとりがうまく成立せず、早く生身の人間と会話させてほしいという場面は勿論ありますが、日本よりそのようなサービスが浸透していることは間違いありません。良い意味でデジタル化されているといえます。
さらに、今後は人間が読み込ませたプログラムやルールに基づく一問一答式のボットサービスから、スムーズで生身の人間に近い対話型サービスを提供することを期待されており、様々な業界で対話型AIプラットフォームの開発や導入が進んでいます。
そんななかでも今回は、金融サービスに特化した対話型AIプラットフォームを提供するKasistoをご紹介します。
2000を超える想定会話パターンで、90%以上の会話が人間を介さず成立する
Kasistoは、KAIという対話型APIプラットフォームを提供します。そのAPIを介してユーザ接点となるチャネル(例えばWEBやモバイルアプリ)統合を進め対話型サービスプラットフォームが構築できます。KAIの良いところは、AIが金融サービスに特化した想定できる会話パターンを学習済というる点です。その数は2000以上にも及ぶため、ゼロからAIを学習させる必要がなく、スムーズかつスピーディに対話型サービスプラットフォームを導入することが可能です。勿論、導入後は自動で学習を進めます。
KAIがカバーできる領域は、我々のような消費者向けのコンシューマバンキング、企業向けのビジネスバンキング、富裕層向けの資産運用サービスの3つです。さらに今後、保険サービスにも対応するロードマップを用意しています。
具体的にKAIを通してできることは、口座残高確認や契約情報の確認、振り込みなど、一般的な金融サービスは勿論、クレジットカードの申込、有効化、またその人にあったパーソナルな商品提案(カードや新商品、サービス提案)、さらには資産運用を行うためのアドバイスなど多岐にわたり、ユーザと銀行やカード会社で起こりうる会話やりとりの大半をカバーすることが可能です。
このような対話型サービスにおいて重要なのは、いかに会話が途切れないようにスムーズにやりとりできるかという点です。その点、KAIは自社の特許技術により会話のコンテキストを理解し、ワンターンで終わらない会話体験やユーザ情報がうまく会話と会話の間で引き継がれるようにオンデマンドの再認証プロセスを提供します。Amazon AlexaやGoogle Home、メッセージングアプリなど、豊富なチャネルに対応していることも特徴です。
NisshoUSA注目ポイント
まず目をつけたポイントは開発陣です。実はKasistoを立ち上げたのは、スタンフォード大学研究所というSiriを開発した研究機関出身のメンバーです。SiriはAppleに買収されましたが、モバイルデバイスの対話型プラットフォームとしては最も有名なプラットフォームの1つでしょう。
さらに、Kasistoは、JP MorganやStandard Chartered、TD Bank、DBSなど、北米を中心とした有名金融機関で既に採用されており、約1800万人以上のユーザが既にKAIプラットフォームを活用しています。このようなスタートアップを採用する企業にとって、有名企業の導入実績は説得力ある材料となります。AlexaやGoogle Homeとの連携も進んでおり、対話型もテキストから音声へ進化を続けています。
残念ながら現時点で日本での採用実績は無いため、日本語対応はこれからです。
また、タイミングも重要です。COVID-19の影響で金融機関のデジタル化は加速しています。対面営業から非対面営業へのステップは時間の問題ですし、そのような流れの中でコールセンターや問い合わせ、新商品の提案、さらには顧客エンゲージメント分野まで、サービスはどんどんデジタル化されるでしょう。コロナ禍においては、ますます注目される分野ではないでしょうか。
会社概要
設立年 | 2013年 |
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所在地 | 米ニューヨーク州ニューヨーク |
従業員 | 80名程度 |
創設者 | Zor Gorelov(CEO) |
資金調達 | $72.5(Series B) |
VC | BBVA Ventures, Wells Fargo Accelerator, SRI, Mastercard, DBS Bankなど |
URL | https://kasisto.com/ |
※crunchbaseデータベース参照
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