デジタルトランスフォーメーションが進む中、多くの企業では既に紙媒体でのやり取りが少なくなりつつあります。一方、製造業界や金融業界などにおける請求書や小切手などの帳票はまだ紙媒体が中心です。今回はそのような紙媒体の帳票を自動で認識してデジタル化し、管理できるプラットフォームを提供するAI-OCRスタートアップLearningPalをご紹介します。
ドキュメントを手軽にデジタル化&管理を行うプラットフォーム
LearningPalが提供するAI-OCR製品の特徴は自動で帳票を認識してくれるという点です。その利用方法を説明します。
- 帳票をLearningPalのプラットフォームにアップロード
アップロード方法はドラック&ドロップ、添付ファイル、そしてLearningPalに対象のドキュメントを送付すると代理でアップロードをしてくれるという3つの方法です。
現在PDF、Word、Excel、スキャン画像に対応しています。 - 自動で帳票を認識するため事前作業が不要
従来のOCR製品では、帳票毎にどこにどんな情報が記載されているかなどをOCRに精通したエンジニアが登録をするという事前作業が必要で、読み込む帳票の種類が多ければ多いほど手間と時間がかかってしまうという課題がありました。しかしLearningPalの製品では自動で帳票を認識することができるため、従来必要だった帳票毎の事前設定が不要になります。エンジニアに頼らず誰でも簡単に製品を使うことができ、効率的な作業が実現します。 - 手書き文字にも対応
さらに嬉しいのが活字だけではなく、手書き文字にも対応している点です。ここで気になるのはその読み取り精度ですが、既に日本語で試しているユーザーのデータからは読み取り精度は約97%という結果があります。認識結果の確認方法はLearningPalプラットフォーム上で実施することができ、もし誤りがあればユーザー側で修正を行うことできます。それをLearningPalが持つAIが学習するため、認識精度は使えば使うほど向上していく仕組みです。現在英語、日本語、アルファベット、数字、チェックマーク等に対応可能となります。漢字は日本での常用漢字のみ対応しています。その理由は特殊な文字を対応した場合、全体の精度が低下する可能性があるためです。
- プラットフォームで一元管理
アップロードされた帳票データはLearningPalのプラットフォームで一元管理します。検索、閲覧、並び替え、ダウンロード等、管理に必要な機能を備えているほか、任意のERPへデータを出力することが可能です。
手書き文字の読み取りイメージ(左が手書き文字、右がデジタル化した文字)
LearningPal ウェブサイトより転載
NisshoUSA注目ポイント
私が注目したのはLearningPalのコンセプトとテクノロジーです。事前設定を必要とせずに帳票を認識できること、手書き文字を認識すること、そしてAIを使いその精度が向上し続ける仕組みを提供することで、様々な種類の帳票を手軽にデジタル化することを実現しました。それはOCRを導入するハードルが一気に下がり、多くの企業で導入が加速することに繋がります。
2017年設立、従業員5人というスタートアップでありながら日本で活動しているメンバーが1人います。私が話したCOOのAustin Hwang氏はベイエリアで活動されていますが、挨拶など簡単な日本語を話すことができ、そのことからも日本市場への積極的な進出を考えられていることが窺えました。近い将来、日本のOCR界隈でLearningPalをよく耳にする日が来るかもしれません。
会社概要
設立年 | 2017年 |
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所在地 | カリフォルニア州サニーベール |
従業員 | 5名 |
創設者 | Robin Wang(Founder & CEO) |
資金調達 | $510K(シード) |
VC | Plug and Play, Glory Technology |
URL | https://www.learningpal.com/ |
※crunchbaseデータベース参照
最後までお読みいただきありがとうございました。
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