先日、GrubhubやNutanixなどへの投資実績を持つ米国著名ベンチャーキャピタルLightspeed Venture PartnersのNicole Quinn氏によって2021年のトレンド予測が発表されました。新型コロナウイルスの影響で先の予想がしづらい中ですが、今回はLightspeedが予想したトレンド10個について、それぞれのポイントをご紹介していきたいと思います。
1. メンタルヘルスアプリの成長
- 新型コロナウイルスの影響でメンタルヘルスの重要性が見直されている
- 現在5人に1人が不安や落ち込みを感じており、その数は昨年の2倍に上がった
- コロナ禍でヘルスケアアプリの需要は昨年と比較して200%増加
- 経済が落ち込んでも、遠隔医療とメンタルヘルスアプリのダウンロード数、エンゲージメントは上昇し続けている
- Calm、Real、Mavenなどのメンタルヘルススタートアップが急成長
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2. ソーシャルショッピングが当たり前に
- 2020年はEコマース市場が劇的に成長し、現在では小売消費の20%を占めている
- オンラインで買い物をする時間が増えるにつれ、消費者は通常のECサイトでは得られないようなソーシャルな購買体験を求めるように
- 例えばインスタグラムのショッピング投稿のように、インフルエンサーの投稿からタグ付けされている商品をそのまま購入するなどの新たな購買体験をすることで購買意欲が掻き立てられる
- テクノロジーの進化で誰でもどこからでもライブショッピングを配信できるようになったことを背景に、消費者がライブショッピングで過ごす時間が増加
- 中国のソーシャルショッピングアプリPibduodouを利用するユーザーは約6億人となり、評価額は93兆ドル以上まで成長
- 未来のショッピングはQVC、HSN2.0、ショッピングのためのTwitchなど、様々なサービスで提供されることが予想される
3. ネットワーキングは(ほとんど)バーチャルになる
- 2020年は、カンファレンスや会議をライブストリーミングにすることで多くの視聴者が参加できるようになったとともに、場所を問わずに人々が出会えるという気づきも生まれた
- パンデミック収束後も完全バーチャル化が続くとは考えられないが、将来のカンファレンスは対面とデジタルのハイブリッドになるだろう
- Lunchclubのように、メンターや新しいパートナーとの新たな出会いをサポートするバーチャルネットワーキングサービスなどがより成長していくことが予想される
4. 消費者がクリエーターになる
- 2020年に大きな盛り上がりを見せた分野の1つがクリエイターエコノミー
- 巣ごもり生活を送る人々は、よりユニークなエンターテイメントを求めるように
- その結果として、クリエイターがよりパーソナライズされた方法でユーザーにアクセスできるCameo、Outschool、Substack、Twitchなどのアプリが成長を加速
- 2020年はクリエイターエコノミーのシステム全体が大きく変化したが、2021年はそれをベースに更なる成長が予想される
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5. 仕事のペースが早くなる
- コロナ禍の非常事態の中、企業は無駄な業務を削ぎ落とし仕事のスピードが加速
- 「来週の月曜日にオフィスで話そう」というフレーズから「今からSlackで話そう」というフレーズに変化
- Slack、Zoom、Facebookなどのツールを使いメッセージを送るだけではなく、Alexaなどのオーディオデバイスを介してメッセージを書き写すことでさらに早くメッセージを送ることができるなどの発見も
- オフィス環境に戻っても、ビジネスのスピードは加速し続けるだろう
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6. B2BとB2Cの境界線が曖昧になる
- 企業はより消費者志向を重要視していくことで価値が高まっていく
- 女性の健康を支援する遠隔ヘルスケアプラットフォームを提供するMavenはB2CからB2Bへ移行、再びB2Cをオプションとして提供する予定に
- フィンテック企業はより良い消費者志向のサービスを提供することが求められていく
7. 耳から得る情報が目から得る情報と同じくらい重要に
- 先進的な起業家は耳から得る情報に関連するサービスに注目している
- Alexa、ポッドキャスト、Calmのような瞑想アプリなど、音声はビジネスにとってより重要なプラットフォームになってくる
- 音声サービスは現在使っているテクノロジーと統合されていくと予想される
- ポッドキャストやそのほかの音声サービスの爆発的な成長により、オーディオコンテンツは1日の最初と最後に使われるものになりつつある
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8. テック業界のダイバーシティ化がさらに加速
- Nicole Quinn氏自身のポートフォリオを例に上げると12社全てに女性の役員がおり、半数の創業者が女性
- 4分の3はシリコンバレーの外でそのうち3社は米国外に拠点がある
- テクノロジーの進化と住む場所を限定しなくなりつつなる中、消費者へ新たな価値を届けることのできるファウンダーを見つけることは世界中で可能となった
- ゴールドマン・サックスは取締役のなかで1人は女性やマイノリティのメンバーがいないと新規株式公開の支援はしないという方針を出す
9. ハイブリッドな仕事環境がニューノーマルになる
- 2020年以前はリモートワークをしたことがない人が大勢いたが、2020年に米国でリモートワークする人は3%から42%まで上昇した
- 今ではリモートワークなしの生活は考えられず、長期的にはリモートワークは調整しつつも定着することが予想される
- 2020年9月にFlexjobsが調査をした半数以上の人が、リモートワークで生産性が向上したと回答
- またリモートワークによりデジタルファーストの企業は住む場所を限定せずに優秀な人を採用できるようになった
- 今は多くの人が同僚にリアルで会えない寂しさを感じているが、パンデミック収束後のハイブリッドな環境ではそのような問題も解決される
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10. 未来はもっと幸せになる
- テクノロジーは幸せを育む上では重要な役割を果たしている
- 例えば、テクノロジーは好きなことをしてお金を稼いでいるクリエイター、リアルまたはバーチャルで新しい人間関係を構築している人、新しいポッドキャストを聴いている人、ソーシャルショッピングを楽しんでいる人などを支えている
- 「どうすれば顧客の役に立てるか」という点に焦点を当てている企業は、今後数年のうちに成長していくだろう
Nissho USA注目ポイント
今回の10のトレンドの中で私が最も注目をしているのは「7. 耳から得る情報が目から得る情報と同じくらい重要に」です。米国での生活を始めて約2年経ちますが、私の友人の大半はポッドキャストを活用して様々な情報収集を行っています。
また以前お伝えしたようにガソリンスタンドでAlexaを使って音声決済ができるなど、音声を活用したサービスは既に人々の生活に深く入り込んでいるという実感もあります。
さらにClubhouseのような音声ソーシャルコミュニケーションなどのスタートアップも出てきており、今後音声を活用した新たな市場ができつつあります。米国と比べて日本では音声を活用したサービスがまだ浸透していない中、音声は新たなビジネスチャンスかもしれません。
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