こんにちは、Nissho Electronics USAの小松です。
7月15日~18日にかけて米国ラスベガスで開催されたMicrosoft Inspire + Ready 2019 カンファレンスに参加しました。これまでInspireはパートナー向け、Readyは社内向けのカンファレンスとして個別に存在していましたが、昨年より両者が統合され、Microsoft one teamとしてのカンファレンスに形を変えています。同社ビジネスの90%超がパートナー経由ということを考慮すると納得いく姿です。日本からも約550名ものパートナー、従業員が参加したようです。ユーザを対象としていない分、細かな最新技術アップデートより、同社の2019年方針、戦略や販売ポテンシャル等、ビジネス要素が強かったように感じました。
そんな中、Microsoftカンファレンス初参加の私が感じた彼らの魅力を4つの観点でご紹介したいと思います。
1. CEO サティア・ナデラの存在
噂には聞いていましたが、ここまでの大企業でこれだけ身内から愛されるCEOは中々いないのではないでしょうか。Corenote(Keynote)開演数時間前から会場入り口には長蛇の列、超満員の会場にも驚きましたし、登壇とともに拍手喝采のスタンディングオベーション、これまで参加してきたAmazonやGoogleのイベントとは違った感動を覚えました。
(写真:Corenoteでパートナー、従業員へ感謝を述べるCEOのサティア)
10万人の従業員、1700万人のパートナーへの感謝で始まり、それらの英知を結集させ全世界70億人へより良い世界を提供する、そんな強い思いが述べられました。ビル・ゲイツ、スティーブ・バルマーに次ぐ3番目のCEOとして、株価拡大に貢献、クラウド採用への柔軟な姿勢を確立させ、時には既存事業の撤退やリストラを決断。パートナー施策に重きを置き、大手Github等の買収により自社の不足を補いながら今のMicrosoftをつくったサティア。Corenoteで述べられたTech Intensity(技術強化)やDemocratizing AI(AI民主化)等、同社今期の重要な施策に触れながらスピーチする姿にも説得力があり、5年超に渡り大企業Microsoftを成功に導いてきただけあるな、そんな魅力を感じました。
2. 軸となる企業向けワークプレース
「全ての机と家庭にパソコンを届けたい」。創業者であるビル・ゲイツが当時掲げた目標ですが、その名の通り、WindowsからはじまったMicrosoftの強さは今も健在でした。BtoBからBtoCまで幅広くカバーされる現Microsoft365(Office365、Windows10やモビリティサービス等)の存在はやはり彼らのビジネスの根源であり、他大手に対する差別化要素です。今回のイベント展示会場においても最も広くスペースを確保されていたのではないでしょうか。同社のAzureクラウドサービスを見ても、先行するAmazonにゼロから対抗しては恐らく太刀打ちできないでしょうし、対抗できるとしても相当な時間がかかるでしょう。過去より蓄積された盤石な顧客基盤があったからこそ、スピーディにトップクラスのパブリッククラウドサービス事業者として名を連ねられたのだと思います。
つい最近、Microsoft365のOffice365サービスであるTeams(チャットベースの作業ワークスペース)のDAU(Daily Active User数)がSlackを抜いたという記事を見ました。その数1日1300万人。すごい数です。Teams単独でも勿論有効活用できますが、他のMicrosoftサービスとのコラボレーション機能が充実していることも魅力です。Corenoteで紹介のあった500人の学生とTeamsを介して講義やレポート共有等を実践する大学の事例や、AI連携によるホワイトボード共有事例は印象的でした。
(写真:1日あたりのアクティブユーザ数がSlackを突破したTeams チャットツール)
我々企業で働く従業員にとってはこのようなワークプレースは欠かせませんし、それを起点としてMicrosoftの様々なサービスを目にする機会も多いはずです。 Microsoft365のような軸となるサービスを持っているということはやはり彼らの強さの魅力です。
3. 自らがユーザとなり最新技術を採用、展開する姿勢
Microsoftは最新技術を採用するリテールユーザとしての顔も持っています。Appleストアのように、Microsoftタブレットや製品を販売する専門ストアへ一度は足を運ばれたことのある方も多いのではないでしょうか。
ここではBosch(ボッシュ)とMicrosoftが手掛けた事例を紹介します。ボッシュはドイツ本社を拠点とするモビリティ機材や消費財を手掛ける製造業です。7月中旬にMicrosoftはヨーロッパでロンドン初となる路面店をオープンしました。そこで活躍しているのがボッシュ製のセンサーやカメラです。Microsoftはそれらをユーザとして活用しています。MicrosoftのAIサービスと連携し、店舗入口における人の出入りや店内のヒートマップデータを抽出し、セキュリティ、マーケティング双方の目的で活用しています。GDPRに代表されるプライバシーへの配慮が必要の為、個人の特定までは現在実施しておりませんが、人とデータは最も重要な資産として位置づけられています。
当然彼らはユーザになって終了というわけではありません。自分自身がIoTやAI技術の実践役となることで、ユーザが抱える課題やニーズを正確に把握し、Microsoftのリテールユーザへ展開しビジネス成長を図るのです。
4.AI分野における活躍
AI分野におけるMicrosoftの躍進も彼らの魅力の1つです。
Corenoteで紹介されたAzure AIとMixed Realityによるデモ(ホロレンズを装着した女性登壇者の等身大ホログラムが登場し、彼女の声や言葉を日本語で発信するデモ)は、分かりやすくMicrosoftのAIへの取組が前進している姿と捉えていいでしょう。
(写真:AI+Mixed Realityによるホログラムが出現し、本人の声で英語から日本語へ翻訳した言葉を発信する)
これは、英語スピーチ to 英語テキスト、英語から日本語翻訳というリアルタイムなAI技術に加え、ニューラルTTSという最新AI技術をとりいれたデモでした。日本語を話せない登壇者があたかも日本語を話しているかのようにその人の声で発信する、びっくりです。最新AI技術が駆使されたデモにも勿論感動しましたし、日本語が採用されたことで2倍の感動がありました。既に利用可能な技術であるというのにもまた驚きです。
別のセッションでは検索エンジンやAIで著名なGoogleにも勝るとも劣らない躍進をしているというお話もありました。ソフトウェア開発者におけるAIサービス評価は引き続きGoogleが優勢ですが、その他では既にMicrosoftが優位にたっているというものです。Gartnerでも、MicrosoftをNo.1のAIサービス提供者に位置づけているとか。
(写真:Microsoft、Google、IBM、Amazon 大手4社に対するユーザ評価。Microsoftは既にトップクラスに位置づけられる。)
勿論ユーザによってAIに求める機能は異なるはずなので一概にどれが素晴らしいというのは様々ですが、少なくとも私のMicrosoftへのイメージは変わりました。
まとめ
今回はMircosoftの魅力を4つの観点でご紹介しました。
Microsoft玄人の方ほど十分に魅力を伝えきれていないかもしれませんが、私なりに腹落ち感のあった部分だけを記載させて頂きました。
また、当社は、Azureサービスのクラウドインテグレーションを進める1社ですが、Microsoftの魅力としてAzureが素晴らしいという表現は避けました。私自身が細かなサービス詳細まで把握できていないということも勿論ありますが、やはりMicrosoftはクラウドだけの会社では無いと実感したからです。そのため、AmazonやGoogleとはまた違う印象を受けました(他がクラウドだけと言っているわけではありません。)し、クラウドだけを見ると遅かれ早かれどこも同じような機能を同じように提供するはずです。
さらに本格的なマルチクラウドが進めば、各々が面で連携されユーザはAWSやGCP、Azureといった風に意識しなくなるように思いますし、それが理想だとも思いますので。
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