シリコンバレーテクノロジー 2019.12.12

【re:Invent レポート】AWS Outpostsの登場でシステムインテグレーターの未来はどう変わる?

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2019年12月2日から6日にかけて米国ネバダ州ラスベガスにて行われたAWS年次カンファレンス「re:Invent」。レポート第一弾【米国リテールトレンド】DXの実現で復活をした「rue21」では米国のカジュアルファッションブランド「rue21」のデジタルトランスフォーメーションについて取り上げました。第二弾となる本記事では、新たに発表されたAWSをオンプレミスで展開可能にする「AWS Outposts」について、そしてそれに伴う今後のシステムインテグレーターの未来についてお伝えしたいと思います。

AWS Outposts

Andy Jassy氏(CEO of Amazon Web Services)がAWS Outpostsを説明している様子

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AWSをオンプレミスで実行する「AWS Outposts」

今回のre:Inventで発表された数多くの新サービスのなかでも、最も盛り上がりを見せたものの1つが「AWS Outposts」。これまでクラウド環境を提供してきたAWSが本格的にオンプレミスへ参入する第一歩と言っても過言ではない、インパクトのある新サービスです。

AWS Outpostsとは

AWSの環境をオンプレミスで提供することを実現する新たなサービスとです。オンプレミス基盤となるサーバー、ストレージ、ネットワークなどの環境もAWSが提供、AWSクラウド側とのシームレスな連携、共通のマネジメントツールで容易な運用を実現し、完全にクラウド環境へ移行することができないユーザーにとって非常に魅力的なサービスです。

AWS Outpostsを選択するメリット

多くのユーザーがハイブリッドクラウド環境を活用していますが、クラウドへのセキュアな接続、クラウドとオンプレミスで異なるマネジメントツール、オンプレミス側の拡張など、多くの手間と時間がかかるという課題がありました。今回AWSが提供するOutpostsではオンプレミス基盤もAWSが提供するものを使用することで、これらの多くの課題を解決できる可能性があります。

Outpostsハードウェアをオンプレミス環境で活用

今回の新サービスのキーとなるオンプレミス環境はAWSクラウド環境で使用しているものと同じHWを活用します。従来のHWのラッキングや配線などの物理的な作業やインストールなどの作業を一切必要とせず、完成されたラックで提供されます。もちろんネットワークや電源は冗長されており、拡張性の高いアーキテクチャ、クラウド側とのシームレスな連携可能なデザインとなっています。

ユースケース

AWS Outpostsがマッチするのは、IoT環境向けにエッジ近くにオンプレミス環境が必要な場合や、金融サービスなど低レイテンシーが求められプラットフォームの近くに環境が必要な場合、さらにストリーミングサービスやライブイベントなどの配信プラットフォームで低レイテンシーが必要な環境などです。これらのように、これまで何かしらの事情でクラウドに移行できなかった環境向けに大きな効果が発揮されることが期待されます。

Outposts HW

オンプレミス環境のAWS Outposts

今後システムインテグレーターはどうなる?

今回発表されたAWS Outpostsによりユーザー側は容易にAWSのハイブリッドクラウド環境を手にすることが期待されます。その一方でサーバーやネットワークなどのオンプレミス環境の設計、設定、保守、運用を生業としていたシステムインテグレーションの仕事はどうなって行くのか?Outpostsの誕生で新たに生まれる仕事となくなる仕事を予想しました。

新たに生まれる仕事

Outposts HWの販売、インテグレーション、運用、保守:
完成されたラックで納品されますが、セットアップやクラウド環境との接続テスト、拡張作業、保守を行う担当者が必要です。

なくなる仕事

オンプレミス環境のHW、SW、運用、保守:

従来システムインテグレーターが生業としていたオンプレミス環境に必要なHWの販売、設計、運用、保守が不要になります。

クラウド環境エコシステムの提供:

クラウド環境へのシームレスな接続をサポートするソリューション、ハイブリットクラウド環境のモニタリングツールなどはAWSクラウド側の機能で対応可能となるため、今後不要となりその提供ベンダー自体の仕事がなくなることになるでしょう。

システムインテグレーターの存在価値は薄くなると予想

多くのシステムインテグレーターでは従来CiscoやJuniperなどのネットワーク機器、HPEやDELLなどのサーバ、NetAppやEMCなどのストレージ、最近ではNutanixやHPEのHCIなど、クラウド環境との連携も考え独自のバリューを出しお客様にとって最適な環境を提案してきました。バリューがある提案により差別化を図り、利益を出す仕組みが出来上がっていましたが、Outpostsの出現によりOutpostsを採用するユーザーへは独自のバリューを出すことが困難になり、システムインテグレータの存在価値が薄れていきます。

現在Outpostsがマッチするユースケースは限られていますが、今後AWSが本格的にオンプレミス市場へ参入した時、システムインテグレーターのビジネスは縮小するに違いありません。その未来は決して遠くはなく、システムインテグレーターに変革が求められています。

まとめ:変革の鍵は危機感とIT活用

今回取り上げたシステムインテグレーターの市場はAWSなどのプラットフォーマーがディスラプトできないのではなく、まだ参入していないだけです。そのような将来ディスラプトされる可能性のある業界は多く存在します。今後も企業が存在し続けるために必要なことは危機感とIT活用です。ディスラプトされるという危機感、変革を成し遂げ新たな価値を生むサービスをITを活用して実現することが求められているのです。

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この記事を書いた人

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Shuichi Noto

2008年にユニアデックス入社。5年間の大手通信キャリア向けの営業を経験した後、日商エレクトロニクスへ入社。大手OTTの情報システム部門向けにVDIやWeb会議などの働き方改革を促進するソリューションの販売に従事。2019年よりNissho USAに赴任。お客様のビジネスを共創&サポートできるようなソリューションの発掘を目指し日々活動中。担当領域はITインフラ全般、ヘルスケア業界、地域創生など。趣味はゴルフとサッカー。

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