こんにちは、Nissho Electronics USAの真次です。
IT、音楽、映画の祭典 South by Southwest(以下SXSW)に参加してきました。
SXSWは3月10日から19日にわたってアメリカ南部のテキサス州オースティンで開催され、1987年 から続いている歴史あるイベントです。イベント会場も街中にあり、カンファレンスというより街全体のお祭りといったかんじ。会場近くの6th Streetは歩行者天国となり、夜遅くまで音楽とお酒を楽しめます。
今回はInteractive(IT分野)の目玉の一つであるAccelerator Pitch Eventをご紹介します。
Accelerator Pitch Eventとは世界で500社以上のStartupが応募し、革新的なStartupを選ぶイベントです。過去の受賞者たちはその後、71%が31億ドルを超える資金を獲得しており、14%が買収されています。厳しい予選を勝ち抜いた50社のFinalist(10カテゴリ)がSXSWの会場で登壇し、カテゴリ別Accelerator(Winner)が10社選ばれます。さらにその翌日にはAccelerator 10社が改めて登壇し、最も革新的なStartupがSuper Acceleratorとして選ばれます。
Accelerator Pitch event概要
3人の審査員を前に2分間のプレゼン、5分間の質疑応答を行います。
<選考基準は5つ>
- Creativity オリジナリティ、ユニークさ
- Potential アイデアのポテンシャル
- Goodness 世界に与えるインパクト
- Functionality ユーザーインターフェスの使いやすさ
- Team/People チームメンバー
プレゼンの様子。審査員はVCなどの著名人が参加。距離が近くてプレゼンターの緊張を感じることができます。
Accelerator賞を獲得したトップ10社
- Transportation Technology:SPLT (エンタープライズ向けカーシェアリングプラットフォーム)
- Social & culture:Lily (女性による女性のためのChatbotを活用したファッションリコメンデーションサービス)
- Enterprise & Smart Data:Deep 6 Analytics (医療情報共有プラットフォーム。AIを活用し最新の治療方法を数分で提示する)
- Health & Wearables:sound Scout (子供向け映像学習プラットフォーム。ゲームをしている感覚で勉強できる)
- Innovative world :Thimble.io (子供が夢中になる工作機械キットを月一で送るサービス)
- Sports:Brizi (スタジアムの感動向上サービス)
- Payment & fintech: CNote (社会貢献のためのFintech。眠っている資産を活用して2.5%の利率を実現)
- Security & Privacy :UnifyID (6歩歩くだけで個人認証を行うパスワードいらずのセキュリティ)
- Entertainment & content : Laughly (コメディファンのためのストリーミングサービス)
- Augmented & Virtual Reality : Lampix (ARでオフィス作業をもっと便利に。ランプ型ARプラットフォーム)
この中から、Super Acceleratorに選ばれたCNoteを含め5社をご紹介します。
今回、最も革新的なサービスに与えられるSuper Acceleratorを受賞したのはCNnoteでした。
1位 CNote – 社会貢献のためのFintech
Super Accelerator ( Payment & Fintech 部門 Accelerator)
アメリカでは日本同様普通口座はほぼ利子が付きません。
統計では$3000億ドルの預金がお金を生んでいないといわれています。
CNoteはその休眠資産を集めて、CDIF(地域活性化など社会的な問題に低金利で投資する金融機関)に投資し、サービス利用者には2.5%の利率を実現します。2016年5月にサービスを開始し、$700万ドルの預金を集めています。社会性を前面に出したサービスが評価され、Super Acceleratorに選定されました。
SPLT – エンタープライズ向けカーシェアリングプラットフォーム
Transportation Technology Accelerator
SPLTは従業員同士の通勤の乗り合いサービスを提供します。従業員はUberを使っているような感覚で従業員同士の乗り合い通勤をすることができます。利用する側は通勤費用を抑え、車を持っている人は収入を得ることができます。従業員の満足度向上とコスト削減を同時に実現します。125社以上で利用されており、BoschやHondaの工場などが事例になっています。SaaSサービスで、登録者数で料金が変わります。
Lily – ファッションのリコメンデーションサービス
Social & culture Accelerator
女性による女性のための洋服おすすめサービス。chatbotのLilyと会話するだけで、Lilyがあなたの好みを理解し、洋服をすすめてくれます。LilyはDeep Learningで感情を理解し、おすすめする理由まで説明してくれます。基本利用は無料で洋服を購入することで費用が発生します。Lilyを利用する3人に1人が洋服を購入しています。
Deep 6 AI – 医療情報共有プラットフォーム
Enterprise & Smart Data
2014年設立。医療情報共有プラットフォーム。患者、病院、製薬会社、CROs(医療サービスの業界団体)で情報共有するプラットフォームを提供し、Deep Learningを活用して、最新の治療方法を必要としている患者に情報提供を行います。従来、1ヶ月かかっていたものを数分で提示してくれます。
Lampix – ARでオフィス作業をもっと便利に
Augmented & Virtual Reality
2015年設立。おしゃれなランプかと思いきや、ランプの中に、プリンター、カメラ、小型PC(Raspberry pi)を搭載したARソリューション。B to Bモデルでリテール 、オフィスがターゲットです。デモでは会議参加者が投影された画面を触って投票できる仕組みを見せていました。APIを公開し、Developerは好きなアプリケーションをつくることができます。Bloombergが事例となっています。ビジネスモデルはHW の販売とクラウドサービスの提供となっています。
Laughly – コメディファンのためのストリーミングサービス
Augmented & Virtual Reality
2016年設立。スタンドアップコメディに特化したストリーミングサービス。Spotifyのコメディ版です。コメディアンと直接契約し、スマートデバイスにストリーミングサービスを提供します。ビジネスモデルは広告収入で、コメディアンと1:1でシェアします。コメディに特化することでYouTubeとの差別化を実現します。
個人的にはCNoteよりSPLT。Lilyは男子向けがほしい
CNoteはとても素晴らしいと感じましたが、私はSPLTのほうが好きでした。日本では白タク問題など課題はありますが、人口減が止まらない地方において地域の助け合いとして乗り合いサービスは需要あるのではと思います。Lilyは女性向けですが、私は男性向けにこそほしいです。洋服を自分で選ぶ自信がなく、お店もよくわからない男子(私もその一人)こそ、センスがある第三者が進めてくれるサービスを必要としています。Lampixはまずは会社に1台買えるかどうか検討してみます。Accelerator Pitch eventはプレゼン、質疑応答とも時間厳守で行われます。ビジネスモデルを詳しく聞かれているのが特徴的でした。よい製品だけではだめで、誰にどのような価値を提供して、ビジネスを成り立たせるかが重要なことを再認識させられます。限られた時間で自らのアイデアをわかりやすく説明し、質疑応答にハキハキと答えている様子はとても刺激を受けます。プレゼンターが緊張しているのも生で感じることができますのでとてもおすすめなイベントです。
以上になります。最後までお読みいただきありがとうございました。
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