こんにちは。Nissho Electronics USA細井です。
2017年9月18日~20日、サンフランシスコ、米国メジャーリーグベースボール、ジャイアンツの本拠地であるAT&Tパークの近くPier48で今年もTechCrunch Disruptが開催されました。本記事でその様子をお伝えします。
会場全体は盛況
今日のテクノロジー関連キーワードである、Fintech, IoT, Security、MEDIA、AR/VR、Health & Biotech, Robotics & Droneといったジャンルが日替わりで異なるゾーンに設定され、そこに数多くのスタートアップ企業が並びます。日々異なるスタートアップを訪問する必要があることから、通常購入で$2,995-と高額なチケット価格にもかかわらず参加者数は非常に多く、歩くのも困難なほどです。
スタートアップブースは、世界各地から出展するインターナショナルゾーンが盛況
出展するスタートアップの出身国の豊富さは注目すべきポイントの一つです。ブラジルから、アルゼンチン、スペイン、ドイツ、チェコ、カナダ、日本、韓国、台湾、香港、イギリス、リトアニア、ハンガリー、ウクライナまで、他のイベントではあまり見かけない国々のスタートアップからの参加もあります。その国毎に分かれたブースエリアの多さにシリコンバレーらしさを実感します。この集客力と、スタートアップが目指す聖地としての土地柄がサンフランシスコ・ベイエリアの起業イメージを更に強くしているのです。
今年はBlockChainが来るか
BlockChainエリアには今回のTCにて18を超えるスタートアップが出展しており、今年注目の技術となっています。特にFintech関連だけではなく、セキュリティー関連でも製品、サービスが出ており、同技術の活用の広がりや可能性に今後も期待できそうです。
このように今年も様々なスタートアップがブースを出展し、各企業が自信のある最新技術を紹介していました。その中でも特に注目を集めたアワード受賞のスタートアップ1社と筆者の興味を強く引いた2社をご紹介します。
注目のスタートアップ3社
Startup Battlefieldアワード:
今回のアワードは、珍しくHW系のPi社でした。
モバイル端末の無線給電装置。今日では携帯電話、タブレットなどが普及して生活の一部になっていますが、ユーザーは日々端末の充電に苦労しています。電源確保もそうですが、給電するためのケーブルを常に持ち合わせているか、というのは私たちにとって重要な問題です。今回Startup Battlefieldアワードを受賞したPi社の装置は、そんな課題を解決するために無線給電、かつ一度に複数の給電を可能(デモ時点では5台まで一度に給電が可能、それ以上の台数の場合は充電できるが、時間を要するというもの)にしています。生活環境を改善する具体的なツールとしてイメージしやすかった点が選考された理由でしょう。
同社のビジネスモデルは、端末の直販モデルと、OEMとしてパートナ(家電メーカーなど)モデルとなっています。Amazon Echoや、Googleなど、家庭内のインターフェース覇権争いが激しさを増していますが、このPiも取り込み、Voiceインタフェースと無線給電を提供するインターフェースHWを狙っています。また、その他のパートナとしてオフィス家具やレストランのテーブルなど他業種を組み込む事で機能差別化を図る事ができそうです。家具などの製品の競争力を増すためのモデルも選考理由の一つとして受けたのでしょう。正直なんでもAll in Oneが好きな日本の消費者に刺さる製品かもしれません。
興味のあったスタートアップ
最後に個人的に興味のあるスタートアップは次の2つ。
芝のメンテナンス、雑草をカットしてくれるAI自動お掃除マシン FRANKLIN ROBOTICS
こちらのスタートアップは、自動掃除機(RUMBAルンバ)で有名なiRobotの開発者がCTOになって起業しています。機器の背中にソーラーパネルを搭載し、自力で充電しながら動作するようになっています。庭に放し飼いの様な状況で使用できるイメージです。ただ現時点では行動範囲を設定することはできず、物理的に柵などを設けた場所のみで動作するようです。
シリコンバレーでは景観を維持する取り組みが積極的であり、また各家庭、街中に芝が多く、手入れが大変というのが現状です。我が家も週末の芝刈りが毎週の行事の一つですが、このFRANKLIN ROBOTICSに期待してしまいます。
自転車に取り付けるナビゲーションシステム BeeLine
BeeLine が発表した、ブルートゥース対応のサイクリングハードウェア。機能を絞り込み、UXに優れた逸品です。TechCrunchのようなスタートアップ発掘のイベントではユニークさや他に真似できない技術等の項目において尖がり具合に欠ける製品ですが、このような使用イメージのしやすいものは、実際のビジネスとしてムーブメントを作る可能性があります。UXデザインをキーワードとするこの製品は、これからの時代に合っていると思います。自転車が生活に密着し普及している日本では、流行るのではないでしょうか?
Nissho Electronics USAは上記のようなトレンドを把握の上、来るべきデジタルビジネス時代に備え、様々な観点からシリコンバレーで調査を行い、日商エレクトロニクスと連携し、お客様に対し最適な提案をしてまいります。
お問い合わせフォームより、どうぞお気軽にお問い合わせください。日商エレクトロニクスのサービスの詳細はこちからから。