こんにちは。Nissho Electronics USAの真次です。
TOYOTAの研究拠点であるTOYOTA Research Institute(TRI)が、5月22日~24日にNewYorkで開催された「Consensus 2017」にて、MITおよび4社のスタートアップと協力してブロックチェーンを自動運転、シェアリングカーに応用するための共同研究を開始することを発表しました。
発表で示されたブロックチェーンの活用方法は3つです。
- 自動運転車開発のためのデータ共有
- シェアリングカーへのスマートコントラクト
- 使った時間だけ課金される自動車保険システム
従来の中央集権型の仕組みではなく、3つの分野にブロックチェーンを活用することで手数料の削減、スピードの短縮、スケーラビリティの確保、取引詐欺の低減を実現していきます。
今回はTRIがパートナに選んだブロックチェーンのスタートアップ4社をご紹介します
1. Oaken Innovations
2017年2月設立。Seed Round 。HQはDallas。
IPSFとEthereumを使って、シェアリングにおけるオーナーとドライバーのPeer to peerプラットフォームを提供します。車の場所を探す、鍵の開閉、支払いなどをBlockchain上で処理を行い、低い手数料、セキュアで迅速な取引を実現します。Softwareだけではなく、ACORNsと呼ばれるラズベリー・パイをベースにしたIoTプラットフォームも提供しています。ドバイで行われたブロックチェーンハッカソンでも見事優勝しています。
2. Commuterz
2017年3月に設立 Seed Round 。HQはイスラエルのテルアビブ
カーシェアリングのプラットフォームを提供します。従来のカープーリングサービスにゲーム要素を組み合わせて、ユーザーに新たな体験を提供します。Oaken Innovationsとともにシェアリングにおけるスマートコントラクトの実現を目指します。
3. BigchainDB
2014年設立 Round A、HQはドイツベルリン 2016年9月にSeries A 3.37Mを集めています。
Ethereum Allianceに加入。ブロックチェーン向けのデータベース・ソリューションです。MongoDBなど従来の仕組みと組み合わせることでスケーラビリティを確保したデータベースを提供します。日本の事例として、株式会社リクルートテクノロジーズが挙げられています。今回の取り組みではドライバーデータの共有基盤構築を担当することになります。
4. GEM
2013年設立 Series A、HQはカリフォルニア 2016年1月にSeries A 7.6Mを集めています。
Ethereum Allianceに加入
ブロックチェーンを使った保険システムを提供します。車両のセンサーが運転データを収取し、ブロックチェーン上に保存し、参照しやすくすることで透明性を高めた格安な保険システムの提供を目指します。
まとめ
4社とも投資ラウンドとしては、Seed ,Series Aとこれからの会社です。研究機関であるTRIではありますが、ここまで若い会社と組んだことは少し驚きました。TOYOTAを日本企業と括ることが既に失礼にあたるかもしれませんが、日本企業の場合、潰れる可能性のあるSeed 、Series Aの会社と組むことはリスクが高いため、Series D以降の成長軌道に乗った会社と組むのが一般的です。
背景には、ブロックチェーンの可能性が大きいということはもちろんですが、Uberをはじめとするカーシェアリングビジネスの急拡大により、既存ビジネスモデルが破壊されるかもしれないという危機感もあるのだと思います。今後、自動車メーカーの利益率低減、車の保有台数減少の可能性も予想されていることから、自ら挑戦することで、既存の枠組みを超えた新しいビジネスモデルを作ろうとしているという強い思いを私は感じました。次の発表がとても楽しみな取組です。
以上になります。最後までお読みいただきありがとうございました。
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