こんにちは。Nissho Electronics USA山本大輔です。
以前の記事でデジタルビジネスについて少し述べさせていただきましたが、今回はデジタルビジネス時代に必要となるITインフラとはどういうものなのか、その中でも注目を集めている「Web-Scaleインフラ」とは何か?をお伝えします。
Web-Scaleインフラとは?
元はAmazon、Google、Facebookのような大手インターネット企業で採用されていた、ITインフラの設計思想です。導入の容易さ、サーバーの数を増やすことで性能を上げる「スケールアウト」が可能であることや、低コストの実現など、いくつかの要求を満たした上で、短期間でのアプリケーション開発を強力にバックアップ可能とするインフラソリューションです。
具体的には、以下のような特徴を持つものです。
- 特定用途の専用アプライアンスを使わず、x86サーバをベースにインフラを運用する
- ソフトウエアで全ての機能を実装する
- 全てのデータとサービスを分散処理することでボトルネックを無くす
- リニアにスケールアウト可能な仕様にする
- セルフヒーリングにより、システム全体の停止を無くす
- APIなどにより運用の自動化をすすめる
Googleなどのデータセンターを見てみると、ほとんどの機器がx86サーバで構成されており、専用アプライアンスの採用は非常に限られています。同社が自社データセンターで膨大なトラフィックを処理し、次々と新たなサービス展開ができている背景にはこれら特徴をおさえたインフラ設計と運用が行われていることが重要要素となっています。
では、Web-ScaleインフラはこれらラージスケールのWeb企業のみに有効なのか?というと、そうではありません。確かにかつては、それら企業しかWeb-Scaleインフラの恩恵を得ることはなかったのですが、最近は一般企業も積極的に仮想環境へのシフトを進めていることから、スケールアウトアーキテクチャの必要性が強まっており、ここ2年ほどで急激に認知度が向上し導入も広がってきています。
また、Web-Scaleインフラはオンプレミス或いは自社プライベートクラウド環境の構築に限ったことではありません。パブリッククラウドサービスはまさに、上述したWeb-Scaleインフラの特長を取り入れ、そのメリットを享受することのできるサービスとなるため、Web-Scaleアーキテクチャを取り入れるためにパブリッククラウドを利用するという考え方も当然あるでしょう。
なぜWeb-Scaleインフラが注目を集めているのか?
さて、なぜ今Web-Scaleインフラを取り上げるのか、その答えは来るべきデジタルビジネス時代において、Web-Scaleインフラが重要なコンポーネントとなりうるからです。
全ての企業がテクノロジー企業になると言われているデジタルビジネス時代、ITを駆使して企業は勝ち残るために奔走します。
先日のブログにも挙げた通り、IoTの普及もあり、企業内において膨大なデータが生まれることでしょう。スピード感をもったアクションがより強く望まれることから、その膨大なデータは瞬時に集められ、高速な解析やアウトプット処理をしなければなりません。そして、そのデータから企業は独自のアルゴリズムを用いて、価値あるアクションにつなげようとします。当然、そのフィードバックを活かし早くかつより多くの収益を生むためには、アプリケーションの迅速な開発も求められてきます。そのためのインフラ基盤として、データの量に応じて容易に、且つ迅速にスケールアウトができ、分散処理による高速処理が出来るWeb-Scaleインフラはまさにうってつけとなるわけです。
企業にとって、データを集めることはコストであり、コンプライアンスなどの観点からリスクでもあります。情報管理が非常に重要であるとともに、運用コストをかけずにセキュアに長期保管する必要性もあります。システム全体のダウンを防ぐアーキテクチャをとるWeb-Scaleインフラはこの観点からも有効と言えます。
インフラだけWeb-Scaleになればよいのか?
来るべきデジタルビジネス時代に備え、インフラだけWeb-ScaleにすればOKかというと、もちろんそれだけでは足りません。
Gartnerによると、2020年までにIoTエンドデバイスから集めたデータの75%は価値がないものになるであろうと言われています。なぜかというと、ITオペレーターはそのデータが自分たちのビジネスにとって役に立つのかどうか、そのデータをどう分析すればよいのか、そもそも収集すべきデータとは何なのかがわからないからです。そのため、「データを消す」という行為に「恐れ」を感じることとなり、価値が無いデータが蓄積されていくことになるわけです。
この課題を解決するためには、ITオペレーターとLOB(Line Of Business)の協調が欠かせません。前述した独自アルゴリズムの醸成にはインフラを設計・運用するITオペレーターの従来型役割は必須ですが、企業にとってそのデータが有益か否か、どう価値を出すのかを定義するには、ビジネス部門の意見が重要であり、インフラに関する理解だけでは何も解決ができません。企業における新たなビジネスモデルやデータの活用法を理解しながらインフラを設計・導入・運用していくことが、今後のITオペレーターに求められる重要なスキルの一つになるわけです。テクノロジーだけでなく、文化やスキルセットに関しても、デジタルビジネスに向け企業には変化が求められていきます。
最後に
ここまでWeb-Scaleインフラを中心にデジタルビジネス時代に求められるものについて述べてきました。日商エレクトロニクスはWeb-Scaleインフラという表現が出てくる前の2012年3月、Web-Scaleアーキテクチャを有し、サーバ/ストレージ市場に破壊的イノベーションを展開するハイパーコンバージドプラットフォームのNutanixをはじめ、ラージスケールのWeb企業がスケールアウト容易なデータセンター環境を構築するために積極採用するネットワークやソフトウェア・ディファインド・インフラストラクチャソリューション等、Web-Scaleを前提としたソリューションを豊富に取り揃えております。Web-Scaleインフラにご興味がある方は是非、お問い合わせフォームよりご連絡いただければ幸いです。
Nissho Electronics USAは上記のようなトレンドを把握の上、来るべきデジタルビジネス時代に備え、様々な観点からシリコンバレーで調査を行い、日商エレクトロニクスと連携し、お客様に対し最適な提案をしてまいります。