2020年5月第3週の週刊コンテンツはリテールをとりあげます。
1. ドラッグストアチェーンRite Aid、買い物代行ユニコーンのインスタカートとの提携を発表
米国内19州、約2500店舗以上をもつドラッグストアチェーンのRite Aidがインスタカートとの提携を発表しました。COVID-19下、E-Commerce需要が高まるなか、Rite Aidが取り扱う処方箋以外の市販医薬品、日用品、食料品などをインスタカート(買い物代行サービス)を活用しユーザへ届けます。これにより、Rite Aidは既にインスタカートとパートナーシップを組んでいるAmazon傘下のWhole Foodsやコストコの仲間入りを果たします。最近は、Uber新サービス「Uber Connect」や「Uber Direct」同様、レストランの食事を届けるということから、宅配品の幅が広がっているように感じます。これもデジタルの力がなせる業でしょう。Withコロナ、Afterコロナの救世主はやはりデジタルとどう向き合って、活用していくかが鍵になりそうです。
2. ウォルマート、モバイルアプリの統合で宿敵Amazonへの対向なるか
ウォルマートが顧客体験向上を目的に自社アプリの統合を進めています。同社はAmazonアプリのように日用品などを扱うリテールアプリと、食料品に特化したグローサリーアプリの2つを運営しています。これまでユーザに人気があったのは前者のリテールアプリですが、COVID-19の影響もあり、グローサリーアプリ人気が急上昇しています。2020年1月時点と4月の結果を比べると、1日あたり460%アップのダウンロード率だとか。勿論それはウォルマートにとっては追い風ですが、ユーザの声はシンプルな顧客体験。同じウォルマートなのに、わざわざリテールアプリとグローサリーアプリを切り替えながら使うことは誰も望んでいません。店舗数よりデジタル重視のAmazon、充実した店舗数に加えてデジタル化を強化するウォルマート、全米リテールトップを争う両社の行方は要チェックです。
https://progressivegrocer.com/walmart-winds-down-its-popular-grocery-app
3. 北米ポルシェ、中古車検索サービス「Porshe Finder」リリースで顧客とのデジタルチャネルを強化
自動車大手のポルシェが本格的にE-commerceを活用したデジタル販売に乗り出しました。「Porsche Finder」は全米ポルシェ正規店舗の中古車、認定中古車検索サービスをオンラインで提供します。現時点では新プラットフォームを活用し、より詳細な中古車検索が出来る程度ですが、今回の取組は「検索から購入、融資までの一環したプロセスを全てオンラインで実行する」という同社CEOが掲げるゴールを達成するための第一歩です。また、Porscheと顧客間のデジタルチャネル強化による販売機会創出に加え、Porscheとディーラー間のデジタルチャネルを強化することで全米200店舗近くにのぼるディーラーネットワークを活用したビジネス拡大を狙います。これはディーラーを持たないテスラにはできない戦略です。Withコロナ、Afterコロナ時代には、リテール販売のデジタル化は急務です。
https://techcrunch.com/2020/05/14/porsche-launches-online-platform-in-u-s-to/
4. マクドナルドの“Free Fries day on Friday”サービスが期間限定で復活
6月28日までの期間限定で、(フレンチ)フライデーと金曜日のフライデーをかけたサービスが提供されています。毎週金曜日午前11時以降の時間帯で、1ドル以上の商品お買い上げでもれなくMサイズのフレンチフライを1個無料サービスという内容です。ただし、ポイントは“モバイルアプリ経由”で購入すること。また、1人1個という制限もありますので、家族であっても皆それぞれモバイルアプリをダウンロードする必要があります。顧客1人1人とのデジタル接点を増やし、そのデータを活用しながらその人にあったマーケティングキャンペーンをうっていくということに繋がります。徐々にマクドナルドも条件付きで店舗内飲食が復活しそうですが、Withコロナ、Afterコロナで彼らのオフライン/オンラインのサービス施策がどのように進歩するのか興味深いです。
https://www.delish.com/food-news/a32461432/mcdonalds-free-medium-fry-may-2020/
まとめ
リテール業界に限らず、各業界でE-Commerce、デジタル化、デジタルチャネルの活用が非常に活発になってきているように感じます。良くも悪くもCOVID-19が、これまで当たり前だと思っていた対人による顧客接点の在り方を見直すきっかけになっているように感じます。そう簡単なことでは無いと思いますが、この状況をチャンスととらえ、うまく時流にあわせた柔軟な姿勢、デジタル化への早期決断をすることがWithコロナ、Afterコロナを切り抜けていく鍵だと思います。