2020年4月第2週目の週刊コンテンツは保険・ヘルスケアをとりあげます。
1. AllStateとAmerican Familyが約800億円もの自動車保険料を加入者へ返金
米大手保険会社であるAllStateとAmerican FamilyがCOVID-19の影響による運転車両大幅減の状況を考慮し、損害保険加入者に保険金を返金することを発表しました。
AllStateは4月、5月に支払われる保険料の15%を約1800万人の加入者へ還元(約600億円)し、一方のAmerican Familyは車両あたり約50ドルを約200万人の加入者へ還元(約200億円)します。同業のStatefarmやプログレッシブもこの異常事態への対応を同様に検討中とのこと。
ただし、AllStateによると実は車両減になっている今の方が重大事故が起こりやすくなっているとか。理由はスピード違反です。こういう時だからこそ、節度ある行動をとりたいですね。
2. インシュアテックユニコーン“Lemonade”、ドイツの次はオランダに進出
ニューヨークに本社を構え、家財保険を提供するインシュアテックスタートアップのLemonadeがオランダへ進出することを発表しました。Lemonadeの海外進出はドイツに次いで2カ国目になります。Uber、SpotifyやAirbnbなど、いくつかのスタートアップは既にグローバル展開を成功させていますが、保険業界ではLemonadeが先陣をきっています。同社投資会社である保険会社大手のAXAやAllianzの本拠地であるヨーロッパエリアで、彼らのサポートを受けながらエリア拡大を図ります。オランダでいうところの自転車盗難保険など、その土地特有の保険サービスを提供することで、USに次いでLemonadeファンを増やしていきます。他のヨーロッパ諸国も今か今かと待ち望んでいるとか。アジアへの進出がどうなるのか楽しみです。
引用:https://www.itij.com/latest/news/insurer-lemonade-now-netherlands
3. フィットネストラッカーのFitbitが非接触決済機能を標準搭載
COVID-19の影響でこれまで以上に注目されているのが非接触決済機能です。現金の手渡し、カード利用時など、店頭で売買当事者同士が触れ合う可能性が高い決済方法はウィルス感染を起こしかねません。私の住んでいるエリアでは、グローサリーショップへのエコバックの持ち込みも禁止されているくらいの徹底ぶりです。このたびFitbit最新モデルのCharge4 リストバンドで標準搭載されることになった非接触決済機能では、世界40カ国以上、500種ものカード決済に対応することになりました(前モデルCharge3ではオプション対応)。外出自粛のこのタイミングなので、健康管理を促進するFitbitの方が、アップルウォッチよりちょっと勝るかなという印象です。
4. Haven LifeがAIと人間のハイブリッドプロセスで保険引受を最適化
米大手MassMutual傘下のオンライン生命保険を提供するHaven Lifeが、生命保険のアンダーライティングにおける新たな取組をスタートしました。これまでもAIを活用したアンダーライティングは各保険会社で取り入れらてきました。通常、保険加入時には健康診断データに基づく審査を行いますが、COVID-19下では診断遅延も起こりえるため、そのプロセスを効率化することが重要です。今回Haven Lifeは、AIと人力のハイブリッド型を取り入れ、過去の診断履歴や医療請求履歴データから総合判断することでそのプロセスを最適化します。勿論各データを活用することは申込者の同意に基づきますが、一刻も早く保険に加入したい申込者にとってはありがたい手段です。
まとめ
保険、ヘルスケア界の話題はCOVID-19でもちきりですが、今週は多くの大手保険会社が加入者に対する保険金返金やディスカウントに対する指針を明らかにしたタイミングでした。AllStateやAmerican Familyが先陣を切りましたが、各社右へならえといわんばかりに続きましたね。もっと返金できるだろうという世論もあったようですが、この異常事態で各々の立場で出来ることに取り組んでいるという印象です。また、この状況が新たなテクノロジー採用や施策を後押ししているというポジティブな流れも感じました。早くこの状況が収束することを願うばかりですが、チャレンジングな状況下での各社の取組にも注目したいと思います。