シリコンバレーテクノロジー 2020.10.15

【Zoomtopia 2020速報】イベントプラットフォームOnZoomとアプリ連携機能Zappsが発表

2020年10月14日から15日にかけてZoomの年次カンファレンス「Zoomtopia 2020」が初のオンラインで開催されました。同イベントは2017年から始まり今回で4回目の開催となります。新型コロナウイルスの影響で様々なイベントやミーティングがオンライン化され、Zoomはビジネスで欠かすことのできないツールとなりました。今回は、Zoomが本カンファレンスで発表した新たなサービスOnZoomとCustomizable SDKの提供、新機能のZappsについてわかりやすく解説していきたいと思います。

エリック・ユアンCEOがキーノートで話している様子

関連記事:【Zoomtopia 2019速報】エリック・ユアンCEOが語るビジョンと進化するZoomエコシステム

Zoomイベントの参加登録から実施までできるプラットフォームOnZoom

本イベントでまず注目を集めたのは、OnZoomというZoomの機能を活用した新サービスです。これはZoomでオンラインイベントを開催するためのプラットフォームで、参加登録から決済、イベントの実施までがすべてここで完結できるというものです。

参加者はOnZoomのプラットフォームから参加したいイベントがあれば、Zoomアカウントを使って申し込みをすることができます。現在はベータ版でリリースされており、実際に参加者としてオンラインでのトレーニングのクラスに申し込んでみたところ、既に登録が可能で決済(PayPalとクレジットカードの2択)もできました。決済後には購入したチケットが発券され、クラスへの参加ボタンのほか、友人に購入したチケットをプレゼントできるボタンも実装されていました。

実際に試してみた感想としては、既に日本でも使われているようなイベントプラットフォームと比較して、目新しい機能や斬新なアイデアはありませんでした。しかし、OnZoomのプラットフォームで申し込みから参加までできること、そしてZoomの強みである高品質で安定した接続ができるという点でバランスのとれたプラットフォームに仕上がっていると感じました。既存のZoomユーザーであれば既存のプラットフォームからOnZoomに移行するユーザーは多く出てくるのではないでしょうか。

そのほかのユーザーにとってはZoomとの新たなタッチポイントができるため、Zoomを使い始めるきっかけになるかもしれません。米国でも多くのイベントプラットフォームが展開されている状況でどのようにOnZoomが広まっていくかを引き続きフォローしていきたいと思います。

OnZoomのイベント申し込み画面
発行されたチケット

Zoom機能を自社アプリに組み込めるCustomizable SDK

また今回のイベントでは、Zoomの機能を提供するSDK(ソフトウェア開発キット)をユーザーへ提供することも発表されました。ユーザーはこのSDKを使うことによりZoom機能を自社アプリとして開発してサービス提供できるようになります。

プレゼンではSentara Healthcare(米国ヘルスケアサービスを提供する非営利団体)が、Sentaraの独自アプリにZoomの仕組みを組み込むことで、医師がアプリ内のビデオコールで遠隔診療する様子が説明されました。Zoomが提供する高品質な機能を自社ブランドとして活用することができるため、ユーザー側にとっては新たなサービスを考えられるのではないでしょうか。

Customizable SDKを使いアプリ開発しているデモの様子

エコシステムパートナーをZoomに連携するZapps

さらにZoom本体の新機能として、SlackやDropBoxなどのZoomエコシステムパートナーとのインテグレーションを行うZappsが発表されました。この機能はパートナーのアプリをZoomミーティングに連携できるというものです。今までは使いたいアプリをZoomミーティングとは別に起動してZoomで画面共有を行うというものでしたが、Zappsを使うことでZoomミーティング内からアプリを起動し操作できるようになります。Zoomが今後今まで以上にパートナーとの連携を強めていくというインパクトのある発表でした。

パートナーとの連携に力を入れていく背景にあるのは競合であるMicrosoft Office365の存在です。1つのプラットフォームにウェブ会議やオンラインストレージなど様々なサービスが連携されているOffice365は、その使い勝手の良さから多くのユーザーに活用されており、Zoomのシェアが拡大できない大きな要因の1つとなっていました。しかし、今回発表されたZappsの初期パートナーからはオンラインホワイトボードMiro、プロジェクト管理Asana、ミーティングの事前準備を効率化するDocketなどOffice365に実装されていない機能を提供するパートナーも揃っているため、Office365とはまた違ったバリューをユーザーに届けることができると考えられます。Microsft対Zoom連合軍という構図が出来上がったのかもしれません。

Zappsのボタンから登録しているアプリを起動
Zappsパートナー一覧
Zappsを使ったDot Collectorのデモの様子

Dot Collectorについて詳しく知りたい方はこちら:
【TechCrunch Disrupt SF 2019】レイ・ダリオ氏が語る「アイディアの能力主義」とは?

NisshoUSA注目ポイント

昨年のカンファレンスまでは新機能の発表がメインで、Zoomの利便性や品質を追求していくという内容のものでしたが、今年はZoomを活用したリモートワークだけではなく、ビジネス全体を変革していくような内容が多かった印象です。OnZoomを活用したイベント企画、Customizable SDKを使った新たなサービスなど、リアルからオンライン化が加速していく時代に、ユーザーがZoomをビジネスにどう活用できるかという内容が昨年までとの大きな違いです。もちろん、セキュリティの強化や利便性の追求などは引き続きアップデートされていくことだと思いますが、今後はZoomを活用したビジネスアイデアが色々と出てくるかもしれません。

とはいえ、約半年間米国でフルオンラインでの生活をした感想としては、やはりリアルなコミュニケーションに戻りたいという思いもあります。今回のZoomの発表はオンラインの世界を広げるものでしたが、オンラインだけに目を向けるのではなく、逆にオフラインの中にも新たなビジネスチャンスがあるのかもしれないとも感じました。

関連記事:【Zoomtopia 2019速報】ライブ文字起こしや同時通訳など、4つのZoom新機能が発表!

Nissho USAは、シリコンバレーで35年以上にわたり活動し、米国での最新のDX事例の紹介や、斬新なスタートアップの発掘並びに日本企業とのマッチングサービスを提供しています。Zoomはもちろん、そのほかのリモートワークを加速させるようなスタートアップなどもご紹介することが可能です。ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

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Shuichi Noto

2008年にユニアデックス入社。5年間の大手通信キャリア向けの営業を経験した後、日商エレクトロニクスへ入社。大手OTTの情報システム部門向けにVDIやWeb会議などの働き方改革を促進するソリューションの販売に従事。2019年よりNissho USAに赴任。お客様のビジネスを共創&サポートできるようなソリューションの発掘を目指し日々活動中。担当領域はITインフラ全般、ヘルスケア業界、地域創生など。趣味はゴルフとサッカー。

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