2020年10月14日から15日にかけてZoomの年次カンファレンス「Zoomtopia 2020」が初のオンラインで開催されました。同イベントは2017年から始まり今回で4回目の開催となります。新型コロナウイルスの影響で様々なイベントやミーティングがオンライン化され、Zoomはビジネスで欠かすことのできないツールとなりました。今回は、Zoomが本カンファレンスで発表した新たなサービスOnZoomとCustomizable SDKの提供、新機能のZappsについてわかりやすく解説していきたいと思います。
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Zoomイベントの参加登録から実施までできるプラットフォームOnZoom
本イベントでまず注目を集めたのは、OnZoomというZoomの機能を活用した新サービスです。これはZoomでオンラインイベントを開催するためのプラットフォームで、参加登録から決済、イベントの実施までがすべてここで完結できるというものです。
参加者はOnZoomのプラットフォームから参加したいイベントがあれば、Zoomアカウントを使って申し込みをすることができます。現在はベータ版でリリースされており、実際に参加者としてオンラインでのトレーニングのクラスに申し込んでみたところ、既に登録が可能で決済(PayPalとクレジットカードの2択)もできました。決済後には購入したチケットが発券され、クラスへの参加ボタンのほか、友人に購入したチケットをプレゼントできるボタンも実装されていました。
実際に試してみた感想としては、既に日本でも使われているようなイベントプラットフォームと比較して、目新しい機能や斬新なアイデアはありませんでした。しかし、OnZoomのプラットフォームで申し込みから参加までできること、そしてZoomの強みである高品質で安定した接続ができるという点でバランスのとれたプラットフォームに仕上がっていると感じました。既存のZoomユーザーであれば既存のプラットフォームからOnZoomに移行するユーザーは多く出てくるのではないでしょうか。
そのほかのユーザーにとってはZoomとの新たなタッチポイントができるため、Zoomを使い始めるきっかけになるかもしれません。米国でも多くのイベントプラットフォームが展開されている状況でどのようにOnZoomが広まっていくかを引き続きフォローしていきたいと思います。
Zoom機能を自社アプリに組み込めるCustomizable SDK
また今回のイベントでは、Zoomの機能を提供するSDK(ソフトウェア開発キット)をユーザーへ提供することも発表されました。ユーザーはこのSDKを使うことによりZoom機能を自社アプリとして開発してサービス提供できるようになります。
プレゼンではSentara Healthcare(米国ヘルスケアサービスを提供する非営利団体)が、Sentaraの独自アプリにZoomの仕組みを組み込むことで、医師がアプリ内のビデオコールで遠隔診療する様子が説明されました。Zoomが提供する高品質な機能を自社ブランドとして活用することができるため、ユーザー側にとっては新たなサービスを考えられるのではないでしょうか。
エコシステムパートナーをZoomに連携するZapps
さらにZoom本体の新機能として、SlackやDropBoxなどのZoomエコシステムパートナーとのインテグレーションを行うZappsが発表されました。この機能はパートナーのアプリをZoomミーティングに連携できるというものです。今までは使いたいアプリをZoomミーティングとは別に起動してZoomで画面共有を行うというものでしたが、Zappsを使うことでZoomミーティング内からアプリを起動し操作できるようになります。Zoomが今後今まで以上にパートナーとの連携を強めていくというインパクトのある発表でした。
パートナーとの連携に力を入れていく背景にあるのは競合であるMicrosoft Office365の存在です。1つのプラットフォームにウェブ会議やオンラインストレージなど様々なサービスが連携されているOffice365は、その使い勝手の良さから多くのユーザーに活用されており、Zoomのシェアが拡大できない大きな要因の1つとなっていました。しかし、今回発表されたZappsの初期パートナーからはオンラインホワイトボードMiro、プロジェクト管理Asana、ミーティングの事前準備を効率化するDocketなどOffice365に実装されていない機能を提供するパートナーも揃っているため、Office365とはまた違ったバリューをユーザーに届けることができると考えられます。Microsft対Zoom連合軍という構図が出来上がったのかもしれません。
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NisshoUSA注目ポイント
昨年のカンファレンスまでは新機能の発表がメインで、Zoomの利便性や品質を追求していくという内容のものでしたが、今年はZoomを活用したリモートワークだけではなく、ビジネス全体を変革していくような内容が多かった印象です。OnZoomを活用したイベント企画、Customizable SDKを使った新たなサービスなど、リアルからオンライン化が加速していく時代に、ユーザーがZoomをビジネスにどう活用できるかという内容が昨年までとの大きな違いです。もちろん、セキュリティの強化や利便性の追求などは引き続きアップデートされていくことだと思いますが、今後はZoomを活用したビジネスアイデアが色々と出てくるかもしれません。
とはいえ、約半年間米国でフルオンラインでの生活をした感想としては、やはりリアルなコミュニケーションに戻りたいという思いもあります。今回のZoomの発表はオンラインの世界を広げるものでしたが、オンラインだけに目を向けるのではなく、逆にオフラインの中にも新たなビジネスチャンスがあるのかもしれないとも感じました。
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